先週、実家に帰省した際に、祖母が白内障の手術を受けることを知りました。
ただ母から、病院のインフォームドコンセントで手術をしても効果がないことがあり、また入院の必要もあると言われたと聞かされ不審に思いました。
マスメディアなどで伝えられる情報では、白内障の手術は10分程度の簡単なものであるため入院の必要もなく、またその手術で視力を取り戻せ、再発もしないと聞いていたためです。
ですから医療訴訟に備えて、万が一のこととしてそのように説明しているのか、あるいは付き添った母の聞き違いではないかと思いました。
ところが東京に戻り、かかりつけの眼科へ行った際に、上述の祖母の白内障の手術のことを話すと、これまで私が知り得たマスメディアなどからの情報とは大きく異なる白内障の手術の実情を教えてくれました。
その眼科医の説明は次のようなものでした。
1. 白内障の手術をしても、健康な頃の視力を取り戻せるわけではない
2. 網膜など水晶体以外の組織に問題がある場合、手術で水晶体を人工の眼内レンズに取り替えただけでは視力が回復しないことが多い
3. そうした他の組織の問題は手術後に判明することが多い
4. それにも関わらずマスメディアなどの情報の影響で過剰な期待を抱く患者が多いため、白内障の手術は医療訴訟が最も多い
以上のことから、白内障は手術しても以前よりも視界が明るくなる程度に思っていた方が良く、過剰な期待は禁物と言われました。
ですから白内障になっても手術すれば元の健康な状態に戻れるので安心では全然ないようですので、やはり予防が大切と思いました。
ちなみに1の「手術をしても健康な頃の視力を取り戻せるわけではない」ことの理由が分かりやすく説明されたページを見つけました。
Q8が該当部分です。一番の問題として「患者の期待」が挙げられています。
眼内レンズは健康な水晶体とは異なりピントが固定されているため「中間に焦点を合わせる(つまり軽い近視にする)ことで遠近ともそこそこに見えるようにしてあげる」調整にならざるを得ないようです。
またその際の視力の例として0.7が挙げられています。
手術しても0.7では「手術をすれば快適な視力なる」と期待していた人は不満に思うことが多いのではないでしょうか。
これが白内障の手術で医療訴訟が多い理由だと考えられます。
最後に4のマスメディアなどからの情報の悪影響についてですが、こちらは番組の制作サイドから手術の良い面だけを話してくれるように、かなり強い要請があるためだそうです。
そのため取材を断る医師も多いそうです。
このような情報操作は、特に情報バラエティ番組に顕著で、私自身もカウンセラーや夢分析家として取材を受けた際によく経験し、その程度があまりに酷い場合は取材を断っています。
しかしそうした物事のある側面だけが強調された情報が「科学的に正しいこと」として広まってしまうことがあるわけですから、マスメディアの罪は非常に重いと思います。
追伸)ちなみに私自身も白内障が始まっていますが、半年前と比べて進行していないそうでホッとしました。