私説:就活での面接官の態度はその会社のコミュニケーションの有様を示す重要な指標〜圧迫面接を例として

今回は前回の記事「私説:就職面接における私服着用の強要は、センスが仕事上極めて重要な職種以外はハラスメントに当たるのでは」の最後に告知致しました、面接における企業側の振る舞いは、単に採用のためだけに生み出されたものではなく、そこにコミュニケーションに関する信念(=企業風土)が色濃く反映されているという点について書きます。
またその分かりやすい例として圧迫面接を取り上げます。

応募者のストレス耐性をチェックするための圧迫面接

圧迫面接とは、意図的に相手を不快にさせるような態度を取ったり、あるいは答えに窮するような質問をすることで応募者を心理的に追いつめるような就職面接のことを指します。
そしてこの常識を疑うような行為の意図は、ストレス耐性のチェックにあるようです。

圧迫面接を行う面接官は、共感能力を著しく欠いた典型的な自己愛人間

私が疑問に思うのは、果たしてこのような応募者に意図的に精神的苦痛を与える面接を行う担当者は、そのターゲットなる就活生の方のことを少しでも考えたことがあるのかということです。
もし相手の身になって考えているのなら、少なからず躊躇いを感じてもおかしくないはずです。
ですからもし圧迫面接を少しも躊躇いなくできるのだとすれば、その面接官は次のいずれかに当てはまると考えられます。

・相手の立場になって物事を考える発想自体がない
・その発想はあったとしても、他者(就活性)をもっぱら自己(自社)の利益のために奉仕する道具としての価値しか認められない

いずれも私の専門領域である自己愛の病理の典型的な症状ですが、より重症なのは前者のタイプです。
別の機会に詳しく書く予定ですが、ここまで重症になれば意思の疎通が極めて困難となり、よほど職場の人の理解がない限り、継続的な就業は困難になってしまうことが予想されます。

ですから圧迫面接を行う大多数の面接官は、後者の他者を道具扱いすることに慣れ親しんだ人ではないかと考えられます。

就活での面接官の態度は、その会社のコミュニケーションの有様を示す重要な指標

問題はこれだけではありません。そのような自己愛の問題を抱える人を採用活動の要職に据えているということは、その企業が圧迫面接に象徴されるような支配-従属的なコミュニケーションのあり方に違和感を感じていないことを意味し、このことからこのようなコミュニケーション・スタイルがむしろ社内に蔓延していることが予想されます。
だからこそ、そのストレスフルな職場環境に耐えられるか否かをチェックする必要があるのではないかと考えられます。

圧迫面接を行う企業は恐らく快適な職場環境の実現に関心がない

例えばもし快適な職場環境の実現に関心が高い企業が、応募者に意図的に強いストレスを与えるような採用手法を採用するでしょうか。
むしろ日々の実践と同じように、少しでもストレスを取り除くように工夫するのではないでしょうか。

このように考えると圧迫面接を行うような企業は、快適な職場環境の実現にはほとんど関心がないことが予想されます。
自社の問題点を改めるよりも、自社のルールに(その自覚なしに)強引に従業員を従わせようとする、まさに自己愛の世界です。

以上ように企業の面接その他の採用活動には、社風と言えるようなその企業の典型的な側面が色濃く表れているというのが私の考えです。
ですから例として取り上げた圧迫面接のような就活での面接官の態度は、その会社の社風、具体的にはコミュニケーションの有様を示す重要な指標に成り得ると考えています。

しかしそれにも関わらず、例えば圧迫面接についてネットで検索してみると、上位表示されるのはその対処法、つまりその面接を突破してその会社に就職するためのアドバイスばかりで、圧迫面接自体を問題視する専門的なサイトは皆無でした。

これは個人的にかなり深刻な事態だと思います。
次回はこの日本社会全体に広がる病理について記事にする予定です。

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