アクティングアウトを防ぐ@フェルトセンスとの共鳴:フォーカシングの応用2

フォーカシングの第4の動き「フェルトセンスとの共鳴」を利用することで、アクティングアウトを防止することができます。

アクティングアウトとは?

アクティングアウトとは、何かのきっかけで、それまでの自分を全否定するような方向へ価値観(およびそれに伴う行動)が極端に変化してしまう状態です。「行動化」とも訳されます。
アクティングアウトが問題なのは、価値観や行動が変化することではありません。問題は、これまで経験したことのない生き方にいきなり飛び込んで(外的にも内的にも)不適応を起こしてしまうことにあります。

カウンセリングにおけるアクティングアウトの危険性:

カウンセリングには、クライエントがアクティングアウトに陥る危険性が常に潜んでいます。
カウンセリングの場では、多かれ少なかれ心理的抵抗が働くために、クライエントは「早く答えを見出しカウンセリングを終わらせてしまいたい」衝動に駆られがちです。
また、心理カウンセリングに来られる方の多くは自己肯定感が低い状態にありますし、今の性格を変えたいとも思っておられるでしょう。
そのような状態の時に、カウンセリングの場で「これまでのご自身とは正反対の行動」を促すような答えが浮かび上がって来たとしたら…それは、全ての問題を解決してくれる『救い』のように感じられるのではないでしょうか?
そうして不馴れな行動で問題解決を図ることは、新たに別の不適応に陥ってしまうことになり兼ねません。
※「気づき」は超自我の働きによって否定される場合もあります。

「フェルトセンスとの共鳴」で、アクティングアウト防止:

カウンセリングに、フォーカシングの第4の動き「フェルトセンスとの共鳴」を利用すれば、このアクティングアウトをある程度防ぐことができます。

「フェルトセンスとの共鳴」の方法:

1. カウンセリングで浮かび上がって来た「気づき」を、クライエントに改めて「体の奥の方で」感じてもらいます。(←「つもり」で大丈夫☆)
「気づき」がピッタリなら、「ホッとする」「楽になる」等の体の反応が得られます。
2. もしネガティブな感じがあれば、その「気づき」は頭で納得している(ご自身に言い聞かせている)だけのものかも知れません。

立ち止まることの価値:

もっとも、誰もがフェルトセンス(体の微妙な感じ)に触れられるとは限りません。しかし、それでも構わないのです。
いったん立ち止まって「気づき」を振り返ってみる…それだけでも、答えに安易に飛び付くことによるアクティングアウトの危険性を減らすことが出来るはずです。

ユージン・T.ジェンドリン著『フォーカシング』、福村出版、1982年
フォーカシングの最良のガイド本☆

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