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傾聴が他のカウンセリング技法に与える効果

「傾聴中心のカウンセリング」は、他のカウンセリング技法と併用した場合でも、カウンセリング後の効果に差が出ます。

傾聴中心のカウンセリング:

傾聴によるカウンセリングといっても、最初から最後まで傾聴で押し通すことは実際にはありませんでした。
(あくまで慎重に)質問もし、何度か他の技法の提案も行うのが普通でした。ですから「傾聴中心のカウンセリング」と呼ぶ方が正しいでしょう。
しかしそれでも、「技法の提案中心のカウンセリング」とは明らかな違いがありました。

傾聴がもたらす、カウンセリング後の違い:

両者の違いは、「カウンセリング後の」お客さまの心の状態に現れました。
以前に書きましたように「技法の提案中心のカウンセリング」では気づきを得てもすぐに元の心の状態に戻ってしまったのですが、「傾聴中心のカウンセリング」では、同じように技法が用いられたにも関わらず、気づきによる心の状態の変化がその後も持続したのです。
中には、一度試されただけの技法を体得されて、その後の問題解決にインナーワークで使い続けている方もいらっしゃいます。「技法の提案中心のカウンセリング」を行っていた頃には考えられなかったことです。

傾聴は「自主性・深い気づき」を育む:

おそらく両者の差には、お客さまの態度の違いが影響しているのだと思います。
「傾聴中心のカウンセリング」では、「カウンセリングをリードしているのはお客さま」との雰囲気が作り出されますので、転移(カウンセラー依存)が最小限に抑えられ、お客さまの自主性が育まれます。
一方、「技法の提案中心のカウンセリング」では転移の問題もあり、お客さまは心の片隅でカウンセラーに気を使ったり、恐れを抱いたりして、どこか気が進まない状態で技法を試みています。
自主的に行われるのか、カウンセラーに言われて渋々従うのか、この態度の違いが同じカウンセリング技法を試すにしても、「気づきの深さ」や「効果の持続度」に差を生むのではないでしょうか。
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ユージン・T.ジェンドリン著『フォーカシング指向心理療法(上・下巻)』、金剛出版

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