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聞き方を上達させようと思えば、最初のうちはまずは聞くことそのものに専念すべき~傾聴のコツ1

  • 2014年12月10日
  • 傾聴
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以前の傾聴に関する2つの投稿「傾聴は聞き方ではなく「伝え方」の技術」「多くの傾聴では話を聞く目的が実質、傾聴的な応答を行うための情報収集となってしまっている」では、傾聴として教わるテクニックの大半が実は話の聞き方ではなく伝え方であり、その結果、伝え方ばかりに意識が行ってしまい、肝心の話を聞く目的が伝える内容の収集のようになってしまっていると書きました。

今回はこれらの現状を踏まえつつ、「傾聴が上手くできない」あるいは「話をうまく聞けない」とお悩みの方々に向けて、私なりの解決策を提示させていただきます。
ただし私は生粋のロジャーリアンでは全然なく、これはあくまで私なりの傾聴あるいはカウンセリングの仕方に過ぎない点は予めご了承いただけますでしょうか。

また今回も含めて、傾聴のコツと題する記事では、実践的な情報を求めている方を対象に書かせていただきます。
ですから決して試験対策にはならない点もご了承いただけますでしょうか。

傾聴のトレーニングの内容に混乱を生む原因が内包されている可能性がある

繰り返しになりますが、これまでの傾聴に関する2つの投稿で述べましたように、日本では実は伝え方の技術に過ぎない傾聴が、話を上手く聞くための技術と混同され、その結果トレーニングでは「伝え方」の方にばかり重点が置かれ、肝心の「聞き方」のトレーニングが疎かになってしまっている気がしてなりません。
(もっと言えば、一技法に過ぎない傾聴がクライエント中心療法の実践そのものであるかのような誤解も生じているように思えます)

そしてこの実情が、そもそも大きな原因だと思います。
つまり「聞き方」と「伝え方」がハッキリと区別されていなければ、それだけでも大きな混乱が生じます。
また上手く話が聞けないとお悩みの方がいくら一生懸命に傾聴の勉強や練習をしても、それは伝え方のトレーニングなのですから、努力に比して効果が上がらないのも当然と言えます。

聞き方を上達させようと思えば、まずは聞くことそのものに専念すべき

ですから聞き方を上達させようと思えば、まずは伝え方のことなど忘れて、クライエントの話や(余裕があれば)非言語的メッセージなどに注意を向けることをお勧め致します。
そしてその聞いた話を教わった傾聴の「伝え方」の理論に照らして伝える、つまり伝え方に気を取られながら話を聞くのではなく、二つを切り分けて二段階の手順を踏むということです。
その方が、たとえ伝える行為に余分に時間がかかってしまったとしても、両方が中途半端になってしまうよりは、よほど有益だと思います。

なお、このようなことを勧めるのには、人間の意識の特徴が関係しています。
人間は瞬時に別のことに切り替えることは可能であっても、一度に意識できるのは一つのことだけです。
ですからトレーニングで教わったように、伝え方のことを気にしながら話を聞くことは、それだけでもう話を聞くということに関しては、専念することに比べて注意散漫になってしまいます。

また一度に複数のことをこなそうとすれば、慣れていなければそれだけでも緊張や焦りなどに繋がり、これがまた非常に有害な作用を及ぼします。
なぜなら緊張や焦りは冷静さを失わさせるだけでなく、意識を自分に向けさせる作用をもたらすためです。
その理由は上述の意識の特徴からもお分かりのように、緊張や焦りを感じているその瞬間に、同時にクライエントに意識を集中させることなど不可能なためです。

以上が、最初のうちはまずはクライエントに意識を集中させた方が良い理由です。
ですが繰り返しますが、試験では「伝え方」の部分の評価が大きなウエイトを占めると思われますので、この方法を試験で行うことはお勧めできませんのでご注意くださいませ。
あくまで話を聞きやすくする工夫に過ぎませんので。

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