最初に今回の内容に関連するブログを紹介させていただきます。痴漢行為をする人の心理をとても的確に表していると思います。
Love Piece Club – どぶろっくと痴漢の関係 / 田房永子
痴漢行為をする人の「自分は限りなく素晴らしい人間」という誇大妄想
私見ですが痴漢行為をする人の典型は重症域の自己愛障害の人と考えられます。
誇大感に支配されている状態の時の重症域の自己愛障害の人は、まさか自分が迷惑な存在だとは思いもよりません。
極端な話「瞬く間に他人を魅了し虜にしてしまうほど自分は魅力的な存在に違いない」と確信している方も少なくありません。
そしてこのことを前提として物事が解釈されることになります。
痴漢行為に及ぶ人の病態水準は精神病水準が疑われる
またこのような内容の確信からは、現実の自分の姿がまったくと言って良いほど自覚されていない、つまりこれはもはや誇大妄想と考えられ、したがって病態水準としては最も重症域の精神病水準が疑われます。
精神病水準にあるため現実検討能力が乏しく、それゆえ逮捕される可能性を認識することができず衝動的に行為に及んでしまうのではないかと考えられます。
(パーソナリティ障害水準にある人は逮捕される可能性を認識することができるため、絶対にばれない自信でもない限り、どんなに強い衝動に駆られても、衝動的に痴漢行為に及んだりはしません)
痴漢行為をする人の誇大妄想は症状に過ぎない
ただしこの誇大妄想は躁的防衛と呼ばれる防衛機制によって生じる症状に過ぎません。
躁的防衛とは何らかの理由から気分が落ち込んだ際、その不快感に耐えられない時に生じる心のメカニズムで、具体的には落ち込んだ状態とは真逆の非常にハイな気分に移行するもので、その際に多くの場合、自尊心が異常に高まる、言葉を変えれば自己価値の非常な高まりを伴います。
これが本当は被害者であるはずの相手の方が例えば「自分の素晴らしさに魅せられて誘って来ている」などという勘違いを生み出す原因となっているのではないかと思われます。
この考えに従えば、痴漢行為そのものが目的ではなく、辛い抑うつ状態を吹き飛ばすために作動する躁的防衛によってもたらされた誇大感が勘違いを生みだし、その勘違いに従った末の行為ということになります。
辛い抑うつ状態を回避するための躁的防衛が、痴漢行為の否認をもたらす
なお重症域の自己愛障害の人の抑うつ状態は何らかの理由で躁的防衛が破綻して現実に直面してしまった際に生じますがと、そのときには非常に高い理想の自己イメージからかけ離れた現実の自分の姿のあまりの情けなさに、その場から消えて死んでしまいたいほどの極度の恥の感覚を伴います。
そのため重症域の自己愛障害の人はどんな手段を使ってもで、その恐怖の状態に陥ることを防ぐために「自分は限りなく素晴らしい人間」という幻想を保持しようと努めます。
ですから痴漢行為を繰り返す方が自身の行為を否認しがちなのには、このような事情が関係しているのではないかと考えられます。
最後に重症の自己愛障害の人がすべて痴漢行為をするわけではありません。
あくまでその中でも非常に強い性的関心を持つ人のみが行うものと考えられます。
刑事司法とジェンダー/牧野雅子
冒頭で紹介したブログの筆者の田房永子さんが痴漢行為をする人の心理を理解するきっかけとなった本です。
よろしければ参考になさってください。