『13歳から知っておきたいLGBT+』~用語集を謳うほど膨大なカテゴリを網羅した当事者目線の入門書

要約:アシュリー・マーデル著『13歳から知っておきたいLGBT+』は、用語集を謳うほどのセクシュアリティやジェンダーに関する膨大な数のカテゴリを網羅した、当事者目線の入門書だと実感。

少し前から自己分析のブログで性に関する分析を始めましたが、その結果自分が「男らしさ」「女らしさ」といったジェンダー観にほとんど囚われずに生きて来たことが判明しました。

と同時に、私のような人間はどのようなカテゴリに分類されているのだろうとの疑問が生じ、その手がかりを求めて購入したのが、今回紹介するアシュリー・マーデル著『13歳から知っておきたいLGBT+』です。

『13歳から知っておきたいLGBT+』の特徴

LGBT+当事者の目線からの記述内容

本書『13歳から知っておきたいLGBT+』の特徴は、まず著者のマーデルさんがLGBT+の当事者であることです。
このため記述内容が当事者目線に立ったものとなっています。

またマーデルさんは人気YouTuberであり、かつLGBT+コミュニティ内の知り合いも非常に多い方だからでしょうか、多くの当事者のコメントが収録されています。

用語集を謳うほど膨大な数のセクシュアリティやジェンダーに関するカテゴリを紹介

そして『13歳から知っておきたいLGBT+』の最大の特徴は、何と言っても用語集を謳うほど膨大な数のカテゴリ(セクシュアリティやジェンダーに関する認識のパターン)が紹介されていることです。
巻末の用語集で調べてみると、その数は優に100を越えていました。

私たちはLGBTのそれぞれの頭文字で表される4つのカテゴリの特徴を知ることで、性的マイノリティについて、ある程度知ったつもりになりがちです。
しかし本書を読めば、これらのカテゴリは主だったものに過ぎず、現実にはセクシュアリティやジェンダーに関して、膨大な数の個々人の認識の仕方が存在していることが分かります。

決してスラスラ読めるわけではないLGBT+の入門書

最後に本書は入門書であることから、難解なものではありません。
しかし決してスラスラ読めるようなものでもありません。

その理由は別の機会に詳述しますが、例えば上述のセクシュアリティやジェンダーに関する膨大な数のカテゴリ1つ取ってみても、普段それらに無自覚な私たちにとって、それは非常に縁遠い世界のように感じられるためです。

このため本書は入門書ではありますが、主な読者層をLGBT+の当事者の方と、その支援者と想定しています。

しかしそれでも『13歳から知っておきたいLGBT+』は、どなたにも読んでいただきたい本です。
その理由は、私がそうであったように普段は無自覚な領域への関心が呼び覚まされることで自己理解が促されること、および本書の内容からは当事者の方がどのようなことに強い関心を抱いているのかが推察できるためです。

紹介文献

アシュリー・マーデル著『13歳から知っておきたいLGBT+』、ダイヤモンド社、2017年

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