アドラー心理学お勧めの入門書~岸見一郎著『アドラー心理学入門』『アドラーを読む』

アドラー心理学お勧めの入門書

今回は少し前にNHKの「100分で名著」で『人生の意味の心理学』が取り上げられていたアドラー心理学のお勧めの入門書の紹介です。
もっとも『人生の意味の心理学』をはじめアドラー自身の著書も決して難しくはないのですが、100年近く前に書かれたものゆえ時代背景が大きく異なり、その点の読みづらさを本屋で手に取って感じたため、そのギャップを埋めるものとして、番組にも登場していた岸見一郎さんの解説書を紹介いたします。

岸見一郎著『アドラー心理学入門』『アドラーを読む』

岸見さんの著書はアドラー心理学関連の書籍だけでもかなりの数に上りますが、アドラー心理学全体を俯瞰できるものは私の知る限り、上の写真にある『アドラー心理学入門-よりよい人間関係のために』『アドラーを読む-共同体感覚の諸相』の2冊と思われます。

双方の違いは岸見さん自身の説明によれば『アドラー心理学入門』は帯に「どう、生きたらいいのか…」とありますように、人間関係や人生で「生きづらさ」を感じている、アドラー心理学のコンプレックス理論で言えば劣等コンプレックスが強い人への指南書の意味合いが強く、対して『アドラーを読む』はナルシスティックな傾向の、同じくアドラー心理学のコンプレックス理論で言えば優越コンプレックスが強い人への指南書を意図しているようです。

また『アドラー心理学入門』にはアドラーの自伝的な内容が多く掲載されていますので、どちらか一冊ということでしたら、アドラーの人となりを理解しやすい『アドラー心理学入門』の方をお勧め致します。

自己愛の先駆的な理論

以前に紹介した『パーソナリティ障害の診断と治療』に、アドラー心理学は自己愛の先駆的な理論と書かれていましたが、読んでいてそれはとてもよく感じました。
特に前述のコンプレックス理論の「劣等コンプレックス」「優越コンプレックス」の概念は、前者はこれまで自己愛講座で述べてきた「抑うつ型の自己愛」の、後者は「誇大型の自己愛」の特徴をよく示していました。
このような自己愛に関する緻密な理論が、コフートの自己心理学が登場する50年も前から存在していたとは驚きです。

しかし同じように自己愛の心理に理解を示しながらも、治療に関して両者が非常に異なった理論を展開してるのは興味深いところです。
この点についての考察は次回以降に譲るとして、今回はひとまずコフートの自己心理学とは異なる自己愛の心理学理論として、岸見さんのアドラー心理学の入門書を紹介させていただきました。

岸見一郎著『アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために』@通販
岸見一郎著『アドラーを読む―共同体感覚の諸相』@通販

名著51 アドラー「人生の意味の心理学」:100分 de 名著 公式ページ

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