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過度の合理主義的思考と遅刻癖に潜む自己愛の病理~自分の想定は常に正しい。問題があるのは現実の方:自己愛講座46

要約:生活に支障をきたすほどの過度の合理主義的思考と遅刻癖には、自分の想定を絶対視し、思い通りにならない現実の方に問題があると考える自己愛の病理が潜んでいることを、私自身の過去の出来事を例に説明。

少し前に夢日記のサイトに投稿した「パン屋で歪んだ合理的思考に囚われ身動きが取れなくなる…@夢分析」の分析過程で、私自身の若い頃の強迫思考が思い出されました。

具体的には、用事を足す時には近隣の他の用事も同時に済ます方が時間の節約になるので、そのすべての用事が出揃うまで待つべきであるという考えに囚われ、しかし実際は予想外の出来事が生じて大事な用事を足せなくなることがよくあるというものです。

今回はこのような強迫思考を生み出していると考えられる心理を、私自身の事柄を例に探っていきます。

自分の身に起こる出来事は必ず想定通りに進むと錯覚

冒頭の私の思考パターンは、綿密に行動計画を立てても、実際は不測の事態などが生じてなかなかその通りにはならず、その結果様々な不利益を被るというものですが、これは見方を変えれば、少なくても自分の身に起こることについては必ず想定通りに進むと確信していると言えます。

遅刻癖にも自分の想定の正しさへの確信が存在する

このような自分の想定の正しさへの確信がもたらす弊害として、私にはこれ以外にも遅刻癖がありました。
今でもプライベートでは時々遅刻してしまいますが、若い頃は仕事でもよく遅刻していました。

この若い頃の遅刻癖がなかなか直せなかったことについても、自分の想定の正しさへの確信が関係していたと考えられます。
なぜなら当時の私は、遅刻して上司に叱られた際、ミスをしてしまったという自覚はありましたが、そのミスは想定外の事態が起こったからであり、それさえなければ遅刻しなかった。だから運が悪かったと考え、自分の不幸な人生を呪うのが常だったからです。
例えば、あの信号が赤にさえならなかったらギリギリ間に合ったのに、といったようにです。

自分の想定は常に正しく、問題があるのは現実の方という自己愛的思考

このように過度の合理主義的思考と遅刻癖という、一見かなり異なる症状にも、自分の想定の正しさへの確信という共通の心理が働いていることが分かりますが、この心理は自己愛的な人の特徴の1つと考えられています。
なぜなら自己愛的な人には、自分の想定は常に正しいと確信しているため、想定外のトラブルに遭遇すると自分の想定通りにならない現実の方に問題があると考える傾向があるためです。

日々の思い通りにならない出来事の積み重ねが「生きづらさ」という感覚を生む

ところが実際の物事はいつも想定通りに運ぶとは限りません。しかし自己愛的な人は、その現実をなかなか受け入れることができず、そのため些細なことでも思い通りにならないことが極度のストレスとなります。

そして日々極度のストレスを伴う自分の思い通りにならない出来事を繰り返し経験することで、この世(社会)に対する生きづらさを感じるようになり、また嫌な思いをするばかりの人生に失望し死にたいと思う人も出てきます。
また上述の辛い状態を避けるために、空想の中に引きこもってしまう人もいます。

次回の自己愛講座では、自己愛的な人がなぜ自分の考えに絶対的な価値を置くのかについて、幾つかの仮説を提示する予定です。

追伸)その後、遅刻癖と過度の合理主義との間に別の共通項を見出しましたので、2ページ目に追記致しました。

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