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秋葉原無差別殺傷事件の加藤死刑囚の言動や世間の反応を参考にした自己愛的な人の非共感性などの考察~自己愛講座49

今、秋葉原無差別殺傷事件の加藤死刑囚の言葉に共感の輪が広がっている

一昨日、NHK総合で放送された事件の涙「“君の言葉”を聞かせてほしい~秋葉原無差別殺傷事件~」を拝見しました。
同番組で初めて知りましたが、今事件を引き起こした加藤死刑囚のSNSの書き込みや自作の詩などがネット上で拡散に若い方を中心に共感の輪が広がっているそうです。

ご承知のように、加藤死刑囚は犯行以前に派遣の仕事の大変さやプライベートにおける孤独な日々など自身の人生の不遇さを連日SNSに書き込み、しかしそれに対して誰も共感してくれる人がいなかったため、ますます孤独感を強めると共に社会への恨みを募らせ、それが犯行の動機となったのではないかとの専門家の分析が、事件当時盛んに報じられていました。

しかし皮肉にも、史上稀に見る凶悪犯罪を犯したことで彼は世間から注目され、さらには彼の言葉に共感のみならず賞賛する人さえ現れて来ているというのが実情のようです。

今回の記事では次のような内容を記述したいと考えています。
1ページ~加藤死刑囚の心理分析
2ページ~加藤死刑囚の言葉に共感の輪が広がっていることに対する考察
3ページ~加藤死刑囚と会社の同僚との比較
別ページ~「自分は世界一不幸な人間」との自己認識が、自己愛的な人の非共感性を強化してしまう

加藤死刑囚を重症域の自己愛障害と推測する根拠

私の専門領域は自己愛であり、これまでその性格の病理的な部分の特徴として次のような点を挙げて来ました。

  1. 自分の身に起こることは過大評価し、それ以外のことは全て過小評価する(自己愛的と呼称される所以とも言える基本的な特徴)
  2. それゆえ自分に関することに対しては、憶測も含めて過敏に反応する
  3. 後述の高すぎる理想的な自己イメージとの比較からもたらされる極端に低い自己評価と、それに付随して生じる自尊感情の低下を補うために、承認および賞賛欲求が非常に強い
  4. 常に他人の評価を気にしており、また他人と自分とを比べている
  5. そして自分の方が優れていると感じられる時には優越感を感じ気分が高揚する反面、その逆だと鬱状態のレベルにまで落ち込み、時に自殺願望が生じる
  6. 理想が非現実的なまでに高い
  7. 批判に非常に弱い
  8. 被害者意識が強く他罰的
  9. 他人の気持ちを想像したり、相手の立場に立って物事を考えることが困難(=非共感性)
  10. 自己愛的な人の大多数は、これらの特徴ゆえに社会に上手く適応できず、さらに理想が非現実的なまでに高いため、非常に不満足な人生を送っており、その思いはしばしば「世界一不幸あるいは可哀想な人間」との自己認識に繋がっている

これまで報道されて来た断片的な情報からではありますが、私は加藤死刑囚を重症域の自己愛障害ではないかと推測しています。
その主な根拠は、リアクションが得られないにも関わらずSNSへ繰り返し、日々の不全感や社会への恨みつらみを投稿し続けたのは、2と関連する誰かに自分の気持ちを分かって欲しいとの願いからと考えられ、また1,8,9のような傾向があったからこそ、次々と人を殺傷することが可能であったとも考えられるためです。
また番組で「自分の人生を呪うかのような」と表現されていた自身の不遇な人生への思いも、10に近いものであったのではないかと推測しています。

補足1) 但しここに挙げた自己愛的な性格の特徴は比較的重症な人の例を列挙しています。
しかしそれでもこれらの傾向を有した人の中で犯罪を犯す人は、極少数である点も強調しておきます。

補足2) 読者の方の中には、加藤死刑囚のSNSなどでの発言から察して、一番の問題は理不尽な社会にあり彼はその犠牲者に過ぎないのに、まるで彼の心の方に問題があるかのような私の解釈に疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この点については、番組に登場した同僚の方の話からも察するに酷い職場環境であったと推測されますが、それでも加藤死刑囚は一方的な犠牲者とは言い難いことを、3ページ目に掲載する予定の彼の同僚の考えとの比較や、別の機会に記事にする予定の私自身の人生の振り返りを、その根拠として示したいと考えています。

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