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人生の楽しみをSNSでの共有に頼るような生き方は、人生を「つまらなく」かつ不安なものにしてしまう

最初に今回の考察の対象であるSNSの共有機能は、SNSの普及に欠かせない機能であるとは思われますが、それがSNSの機能のすべてではありません。
ですが今回は「いま・ここ」の体験との比較を容易にするために、あえて共有機能に絞って考察しています。
SNS全般の利用全般についての同様の考察は、今回の内容と重複する部分も出てくると予想されますが、別の機会に行う予定です。

前回の「現代はコミュニケーションに過剰な価値が置かれ、孤独であることが即問題視される」で、現代がコミュニケーション過多の時代であることを述べました。
そのもっとも大きな要因は「現代人は一人で居られる能力が急速に衰え、対人依存的になってきている」にも書きましたように、一人で居られる能力が急速に衰えてしまったことで、自尊感情を支えるために他人からの肯定的な反応が欠かせなく、言葉を変えれば自分の心を安定させたり嫌な気分を吹き飛ばすために他人を自己対象として利用せざるを得なくなり、その結果多くの人が対人依存的になって来ているためではないかと考えられます。

体験の目的が自己対象欲求を満たすためのSNSでの共有になってきている

この自己対象欲求の充足を目的とした対人依存傾向は、SNSの普及によりさらに加速して来ているように思えます。
より具体的には、私自身も一時そうなってしまいましたが、何かを体験するにしても、その体験自体を楽しむことよりも、その体験をSNSなどを通じて誰かと、あるいは不特定多数の人と共有することの方に重きが置かれるようになって来ているように思えます。

SNSでの共有を目的とした体験は、体験自体の貧困化という形で人生を「つまらないものに」してしまう

このようなSNSでの共有を目的としたような物事の体験の仕方は、自己対象欲求の充足というニーズは満たせても、その体験自体を十分に楽しんではおらず上の空になってしまうため、体験自体の貧困化という問題を引き起こします。
これがなぜ問題なのか、それは体験自体をしっかりと味わってさえいれば得られたであろう満足感を放棄してしまっており、その結果自ら人生を「つまらないものに」してしまっているためです。

例えば目の前の料理をしっかり味わえば「美味しいものを食べた」という喜びを味わえたはずなのに、自己対象欲求の充足の方が大事になってしまうと、スマホを見ながらの「ながら食い」となってしまい、体験の共有から得られる喜びはその満足感を得る機会の喪失を穴埋めしているような代理の満足に過ぎないためです。

人生の満足感をSNSでの共有に頼る人生は、人間関係の不安をも生じさせる

上述の話を聞いて、穴埋めできるなら何も問題がないではないかと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

実感がある方もいらっしゃると思いますが、どんなに親しい人でも所詮他人ですから、いつも思いどおりの反応を返してくれるわけではありませんし、また思いどおりにコントロールできるわけでもありません。
つまりSNSには常に「相手次第」の状態が存在し、これが楽しさだけでなくハラハラドキドキの不安を生じさせます。
その自覚がないだけで、私たちは投稿の都度、何がしかの期待を抱き、それと同時にその期待が叶えられるかどうかについて常に少なからず不安を募らせているのです。

SNSでは相手が見えない分、余計に期待や不安が高まる

もちろん相手の反応への不安は、対面や電話などでのコミュニケーションでも生じます。
ですがこれらのコミュニケーションでは視覚や聴覚からも情報が得られるため、相手がどのような反応を示すのか分からないことから生ずる不安については、文字のみのコミュニケーションであるSNSほどではありません。
(ただし相手の反応がよりダイレクトに伝わって来ますので、その点に怖さを感じる人はいらっしゃいます)

またSNSでは相手の様子が分からないことから空想の投影が起こりやすくなり、このため好ましく思っている人には過剰な期待を抱きやすくなるという傾向も有しています。
そうして高められた期待への不安も、それが満たされるハードルが高くなってしまったことで同じように強まってしまうのです。

こうして楽しさを求めて行っているはずのことが、不安の種にもなってしまいます。
これがSNSにのめり込み過ぎた私を苦しめたことであり、かつその後は少し距離を置き必要最小限にしようと思った最も大きな理由です。
(もう一つはSNSに時間を取られて、やりたいことが思うようにできなくなったことです)

以上のように、人生を楽しむ機会や能力を自ら放棄し、満足感をもっぱらSNSでの共有による自己対象欲求の充足に頼るような生き方は、人生を「つまらなく」かつ不安なものにしてしまいますので注意が必要です。

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