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スクールカーストの成立要因その1:常に「他人との優劣」に心を奪われている自己愛的な生徒により形成-自己愛講座33

今『先に生まれただけの僕』という日テレのドラマを見ています。
とても面白いドラマですが、先週の第2話にスクールカーストの話が出て来ました。

今回はこのスクールカーストが生じる要因について、個人の心理に焦点を当てて考察します。

スクールカーストとは

まずスクールカーストとは、学校内で形成される暗黙の序列を指す用語です。
序列自体は社会の至る所に存在しますが、スクールカーストが一般的な序列と異なるのは、その序列が主に人気度を指標としていることと、カーストという言葉が示すように、その差が「身分の違い」と言えるほど、当事者にとって修正不可能な程の絶対的な違いとして感じられていることです。

スクールカーストは自然発生するものではない

このスクールカーストについて調べてみると、よく生徒の間に自然発生する旨の説明を目にします。
この自然発生という用語が、厳密にどのような意味で使われているのかは定かではありませんが、少なくても私は、個々人の意思とまったく関係なく生じるものではなく、因果関係を特定し得ないだけで、あくまでその集団に属する生徒個々人の心理が生み出す集団心理の表れと考えています。

スクールカーストの背後には生徒個々人の「他人との優劣」に心を奪われた自己愛の病理が存在

では、どのような個々人の心理がスクールカーストを生み出すのか?
それには私の専門領域の自己愛の病理が大きく関係していると考えられます。

以前に「理想化-価値下げ」の防衛機制が自己愛的な症状を生み出す~自己愛講座8いじめの背後に働く羨望の存在~自己愛講座30でも少し触れましたように、病理的な自己愛に侵されている人には、常に自分と他人とを比較し、その優劣に心を奪われているという特徴があります。

なぜなら、このような特徴を有する人には、自分の方が上と感じられる時には優越感という自己愛的な人にとってはこの上なく幸せな気分に浸れる反面、自分の方が下と感じると途端に自尊感情が著しく、それもしばしば生きている価値さえないというレベルにまで低下してしまうという、天と地ほどの差を味わうため、他者との優劣に敏感にならざるを得ないという事情があるためです。

そしてこのような他者との優劣に非常に敏感な生徒が数多く存在するクラスや学校では、スクールカーストという序列の概念が生み出され、かつ広く共有されるのではないかと考えられます。

絶対視することで序列に圧倒的な力が備わる

またその序列がカーストという身分制度に例えられるほどの厳しい格差となるのは、それを生み出した生徒個々人の序列を絶対視する、つまり過剰なまでに価値を置いている心理の反映と考えられます。

そうでなければ法律のような拘束力もない、また明文化されてもいないため内容が曖昧なはずの暗黙の序列が、社会問題として取り上げられるほどの力を持つはずがないのです。

次回はこうした自己愛的な生徒がスクールカーストという序列を絶対視する要因について考察する予定です。

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