自己愛講座1~自己愛的な人とはどんな人?

以前にFacebookページに投稿した「自己愛講座1」に加筆訂正したものです。

自己愛的なパーソナリティとは?

おそらく多くの方は自己愛的な人と聞くと「ナルシスティック」「自己中心的」「尊大」「冷たい」などのイメージを抱くと思います。
これらはいずれも自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)という精神疾患の特徴ですが、実はこれらは自己愛的な性格の、ごく一面を示したものに過ぎません。
例えば精神分析では、次のような人のことを自己愛的と呼びます。

「他者から肯定されることによる自尊心の維持をめぐってパーソナリティが構成されているような人」

※参考文献:『パーソナリティ障害の診断と治療』(創元社)の「自己愛性パーソナリティ」の章の冒頭部分

具体的には、自分一人では自尊心の維持に必要となる自分の存在価値を十分には感じることができないため、誰か他人から頻繁に「あなたは素晴らしい人」「あなたは正しい」というようなメッセージを受け取ることを渇望し、その結果このことが他のどのような事よりも優先されてしまっているような人、ということになります。

私たちは誰でも「承認欲求」という言葉で形容される「人から認められたい、褒めて欲しい」という欲求を持っていますが、このこと自体はとても自然なことで、問題はその程度です。
自己愛的と呼ばれる人は、この承認欲求があまりにも強すぎるために、状況によっては他のもっと重要なはずのことまでもが二の次にされてしまうことが問題なのです。

具体例を挙げますと典型的なのは、他者から常に肯定されるために「人から嫌われたくない」との思いが強くなり過ぎ、その場の人間関係を良くすることが最優先になってしまうため、どんなに嫌なことでも頼みごとを断れなくなったり、常に相手のニーズの方を優先して不利益を被ったりすることです。

上述の自己愛性パーソナリティ障害の診断項目の一つの「絶え間ない賞賛欲求」も、このような理由から生じていると考えられます。

日本人は誰もが自己愛的?

この自己愛的なパーソナリティの定義から致しますと、ナルシスティックとは無縁と思えるような、普段から他人の目や評価を非常に気にして、互いに気を遣い合っている私たち日本人の多くも、実は自己愛的な性格である可能性が出てきます。
その理由は自己愛講座2で書かせていただきます。

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