高校生に個別に自衛隊の募集案内が届いた出来事~もっと恐ろしいのは安倍総理が理想化されたとき

今、高校卒業を控えた生徒に対して、個別に自衛隊の募集案内が届いていることが話題となっています。
高3生に自衛隊の募集案内が、個人宛に続々と届く

閣議決定の翌日に早速届いたことに、政府の再軍備への意欲や用意周到さを感じます。
ただこの投稿者の方々は送り主を小馬鹿にしているようですので、自衛隊に入隊することはまずないと思います。
もっと恐ろしいのは「理想化」「崇拝」している人からの勧めです。

理想化されている人の話は無条件に肯定されやすい

私が高校の頃に通っていた塾の講師が日中戦争の経験者で、よく手柄話を交えながら戦争肯定的な発言を繰り返していました。
女子生徒はそれを聞き流していましたが、私たち男子生徒はすっかり感化されて、中には志望校を変えた人までいました。

進路が別なので、その人が実際に自衛隊に入隊したのかどうかは分かりませんが、怖いのはこうした理想化されているがゆえに影響力の大きい人の働きかけです。
もっとも一番の問題は、その講師の手柄話などに簡単に感化され「軍隊=カッコいい」などと思い込んでしまう未熟な男子ですが…

誰かを理想化することは人間の根源的な欲求の一つであり避けがたい

こういったことのほとんどは自分で考える力(=主体性)が養われていれば防ぐことができますが、それでも理想化されている人の話は何でも素晴らしいことのように錯覚してしまいますので、完全に防ぐことは困難なのも事実です。

またコフートの自己心理学の理論によれば、(程度の差はありますが)誰かを理想化してその人の言葉を信じたいと願うことは人間の根源的な欲求の一つとされていますので、この意味でも上述のような出来事は完全には避けようがありません。

これらの理由から私たちにできることは、根源的な欲求ゆえに誰かを盲目的に信じ、ときに好ましくない事態を招いてしまうも、その結果を踏まえ反省し、改善を図る努力を怠らないことだと思います。
避けようがないのであれば、大切なのはリカバリーです。

もっと恐ろしいのは安倍総理が理想化されたとき

冒頭のリンク先の記事の話に戻りますと、もっと恐ろしいのは安倍総理が多くの人から理想化されたときです。
そうなればかつてナチスに多くのドイツ国民が熱狂したような事態に陥らないとも限りません。
この点、安倍総理は話の内容は過激でも、態度はヒトラーのような芝居がかったものとは異なり、むしろ一見紳士的でさえありますので余計に注意が必要です。

もっとも現状は世論調査などを見る限り、安全保障に関する政府の意向のほとんどに過半数の国民が反対していますので、幸い理想化には程遠い状況です。
しかし論旨が二転三転して恐縮ですが、かつての日本ではヒトラーのような国民を熱狂させるカリスマ的な人物が存在しなくても戦争に突入してしまいました。

ですから日本ではナチスの例はあまり教訓とはならず、むしろもっと別の事態を心配せねばなりません。
次回はこの別の危惧について書かせていただく予定です。

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