男女共同参画社会の実現~先人たちの戦いの歴史

今晩7月17日(金)の24時からNHKEテレで「戦後史証言 日本人は何をめざしてきたのか 第2回 男女共同参画社会 女たちは平等をめざす」が再放送されます。

本放送を見ましたが、今でも明確な男女間格差が存在しますので現行法でもまだまだ不十分だと思いますが、今の法律に辿り着くまでにも先人たちの尽力がなければ決して成し得なかったものであることを実感しました。
男女雇用機会均等法が制定されても、それだけでは男女平等社会の実現には程遠いものだったのです。

経済界の猛反対により骨抜きにされてしまった男女雇用機会均等法

労働省婦人少年局長の赤松良子さん(85)は、労使の狭間で苦渋の選択をした当時を振り返る。「財界や企業の猛反対で妥協せざるを得なかった。労働者側からは腰抜けだと、激しい非難の的になった」。

放送をご覧いただけると分かりますが、財界や企業のトップが「経営の足かせになるので罰則規定などを盛り込まれては困る。実効性のないものにしてもらわないと。」旨のことを公言し、これらの反対勢力の力で1985年の制定当時の男女雇用機会均等法は多くの規定が努力義務に留まる、つまり違反しても何の不利益も生じない形だけのものになってしまいました。

上述の赤松さんの発言はこのことを指しています。

ついでに申し上げますと反対勢力の「法律を作っても構わないが、実効性のないものにして欲しい」旨の要請は、自分(たち)は男女共同参画社会の実現に理解を示している(反対などしていない)寛容な人間であることをアピールしつつ、本音の部分である絶対阻止の意向も叶えることができるという策略に過ぎません。
ですから評価はこうした美辞麗句ではなく結果(法律制定後の実効性)で判断すべきです。

均等法施行後も男性社員との格差はなかなか埋まらず、昇進を求める女性たちの裁判などが相次いだ。

こちらも同じく赤松さんの発言です。
その後、赤松さんらの尽力により徐々に努力義務に過ぎなかった規定に罰則規定が設けられるように改訂されて行きましたが、そうした流れに対して企業は今度は法の網の目をかいくぐるような巧妙な仕組みによって不平等の維持を図りました。

例えば表向きはすべての従業員に昇格試験を受ける機会が与えられてはいますが、実際は従業員を総合職と一般職とに分け、総合職のみに昇格試験の内容に直結する業務内容が割り振られているというような仕組みです。
番組で取り上げられたこの信用金庫ではその結果、昇格するのは総合職のみという実態が長らく続き、それが上述の昇進を求める女性たちの裁判へと繋がりました。

ここでも繰り返しになりますが重要なのは「誰でも昇格試験が受けられる制度が整っている」ことよりも「実際に管理職になった人の統計データ」という制度の実効性の方です。

男女共同参画社会の実現度の評価は実データを元に行うべき

今後も見えない壁によって隔てられるのではなく、実効性を伴った制度の確立のためにも、理念などではなく実データを元に制度を評価していく必要があると思われます。

最後にファンの方も多いと思いますので補足させていただきます。
番組には上野千鶴子さんもたびたび登場しますので是非ご覧ください。

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