就職面接において私服着用の慣習が広がって来ている
先日、BSのある就活の番組で、ちょっとビックリする話を見聞きしました。
それは就職面接における私服着用の強要です。許容(=服装自由)ではなく強要です。
私は知らなかったのですが、こうした要望を示す企業は今では珍しくないらしく、そのためでしょうか「就活 面接 私服」などで検索すると、複数の絞り込みの検索候補が示されます。
面接における私服着用の強要はプライベートの開示の強要
もっとも私が驚いたのはこのことだけではなく、番組の出演者の間からその慣習を問題視する声が一つも聞かれなかったことです。
私服とは文字どおりの意味ではプライベートで着用している服、つまり普段着を指しますが、もしそのような服装で面接を受けることを半ば強要されるのだとすれば、それはプライベートの開示を強要されていることになるはずです。
ビジネスの場におけるプライベートの開示の強要、これはそれを不快に感じる方にとってはハラスメントに当たるのではないでしょうか。
それにも関わらず番組に出演した専門家の方から、その慣習を疑問視する発言がまったくなされなかったため驚いたのです。
ですからファッション業界やデザイン業界など、その人自身の美的センスが仕事上極めて重要な職種以外は、こうした指示は控えるべきというのが私の考えです。
面接における私服が「オフィスカジュアル」を意味するのなら、そのように明確に伝えるべき
もっとも上述の私の見解は的外れな部分もあり、実際は例えば次のページにも示されているように、面接における私服とはオフィスカジュアルを意味するとの見解が一般的のようです。
就活における「私服面接」の考え方【男女ともに画像あり】 – 大学生はこれを見ろ
なおオフィスカジュアルとは、スーツとは異なるオフィスワークに適した服装と考えられますので、これでしたらプライベートを開示するわけではありませんので、ハラスメントにも該当しないと思われます。
もっとも私服と指示しつつ実際はオフィスカジュアルを求めているのでしたら、そのように明確に伝えた方が誤解が生じづらいはずです。
しかし実際はむしろその誤解を積極的に促す、つまりできるだけ入社希望者を惑わす意図を持った採用担当者が少なくないようです。
また今回取り上げた面接における私服着用の指示も、明確な意図を持って実践されているというよりも、単に同じような服装になってしまうことを避けるためのことが多いようです。
こうした効果の定かではない、かつ根拠の曖昧な、それゆえ奇をてらっただけのようにも思えるアイディアが就活の現場に蔓延しているようですが、こうした企業側の振る舞いは、単に採用のためだけに生み出されたものではなく、そこにコミュニケーションに関する信念(=企業風土)が色濃く反映されていると私は考えています。
次回はその点について記事にしようと考えています。