傾聴によるメールカウンセリングの効果

傾聴を用いる以前のカウンセリング:

夢カウンセリングのトレーニングを受けていた頃、たびたび私は次のような経験をしました。
トレーニングでは仲間うちで、お互いカウンセリングの練習を行います。そしてカウンセラー役の巧みな?質問や、ゲシュタルト療法などの技法を駆使することによって、次々と「気づき」が起こります。
「そうか、そう言うことだったのか!」
傾聴が意識して使われることはほとんどありませんでしたが、それでも確かに「気づき」は起こったのです。
と・こ・ろ・が・です。ものの1時間もしないうちに、先ほどの高揚感は熱が冷めたように消え失せ、気がつけば「いつもの自分に」戻ってしまっているのです…まるで先ほどの気づきがウソであったかのように…
ですから、カウンセリングによって心が実際に変化するのには時間がかかる…当時はそう思っていました…
関連ページ:カウンセラー依存@ランクの影響:傾聴&プロセス指向心理学

傾聴によるメールカウンセリング:

トレーニング終了後、しばらくしてから「夢占い・夢診断・心理カウンセリングの部屋」として心理カウンセリングの仕事を始めました。最初はカウンセリングに使えるサロンが確保できなかったので、メールカウンセリングのみでスタートしました。そこで、傾聴をメインにしたメールカウンセリングを行うことにしました。それは悩んだ末の決断でした…
なぜなら私が調べた限りでは、傾聴によるメールカウンセリングを行っているところはありませんでしたし(あくまで私見です^^;)、メールで傾聴などしたら一体どれだけの時間がかかるか予想も着かなかったからです。
しかし私には上述の、「技法を駆使したカウンセリング」に対する苦い経験がありました。それに傾聴以外に、技法を駆使したカウンセリングに代わる方法も知りませんでした。
ともかくも、私は「傾聴によるメールカウンセリング」を試してみたのです…

傾聴に徹することの苦しみ:

メールカウンセリングとは、なかなかシンドイものです。お客さまのことは、メールの文面からしか伺い知ることが出来ません。ですから、理解にも限度があります。
加えて傾聴です。「技法を駆使したカウンセリング」に慣れ親しんでいたため、メールを拝見するたびに「~療法を試してみた方がいいのではないか?」「~について知りたい」など、技法や質問が次々と心の中に浮かんできました。
そして、それらは傾聴に徹するために、実に90%以上が捨て去られなければなりませんでした。
心に沸き起こって来た欲求を、その度に呑み込むのは心底苦しいものです。傾聴は、それまでのカウンセリングの場で経験したことがなかった葛藤を私にもたらしたのです。
関連ページ:傾聴に求められるカウンセラーの態度

傾聴の不思議(傾聴による心の変化):

それでも根気強く傾聴を続けて行くと、「突然」お客さまのメールに変化が見られました(少なくとも、私にはそう感じられました)。その文面は、生のエネルギーに満ち満ちていました。
原因を探るべく、これまでのメールを見返して見たのですが、一体どの段階が変化のきっかけとなったのか見当も付きません。お客さまも、ご自身の変化の理由が分からず笑っていらっしゃいます…
その後、他のお客さまのメールカウンセリングでも、同様に心の変化が起きましたが、やはりハッキリとした理由は解明できませんでした。

傾聴による具体的な心の変化

傾聴によって共通してみられた心の変化は、主に次のようなことでした。
1. 自己決断力の増大
2. 物事に対する肯定的な態度の促進
3. 過去や現在の自分に対する自己肯定感の出現
傾聴(による心の変化)は実に捕らえ所がなく、頭では理解し難いものです。しかし、それでも確実にお客さまの心に変化をもたらしたのです。

「傾聴」関連ページ:

傾聴による夢分析の効果
傾聴が他のカウンセリング技法に与える効果
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ユージン・T.ジェンドリン著『フォーカシング指向心理療法(上・下巻)』、金剛出版
ジェンドリンの著作は、たびたび傾聴の葛藤に苛まれる私を励まし、勇気付けてくれました☆

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