恐怖の対象の違い:
誇大型自己愛性人格障害*と抑うつ型自己愛性人格障害とは、いずれも自己愛性人格障害の特徴である「自己の傷つきやすさ」「恥」「羨望」に関して問題を抱えているにもかかわらず、外見上は大変異なって見えます。
これは私見ですが、両者の外見上の違いには恐怖の対象が異なっていることが関係しているように思えます。
*DSM-4における自己愛性パーソナリティ障害が誇大型自己愛性人格障害に当たります。
不安に耐えられない誇大型自己愛性人格障害:
まず誇大型自己愛性人格障害の人々は、他者の反応よりも自己の抱える不安の方が堪え難く、そのため行動によってその不安を振払いたい衝動に駆られるようです。
他人の否定的な反応に耐えられない抑うつ型自己愛性人格障害:
一方、抑うつ型自己愛性人格障害の人々は、たとえ誇大型自己愛性人格障害の人々と同様の不安が生じても、それを振払う行動をした場合に生じる他者の否定的な反応の方が恐くて仕方がないため、不安を内的に処理せざるを得ず、攻撃の矛先を自己に向けたり投影*を用いることで抑うつ的になると考えられます。
特に、抑うつ型自己愛性人格障害の問題を抱える私と、おそらく誇大型自己愛性人格障害であろう父の性格を比較してみると、このような違いを明確に感じます。
*他者に投影しても結局は矛先が(他者からの否定的な反応という幻想として)自己に向かってくるので、やはり抑うつ的になります。
自己愛性人格障害 解説本
※「人格障害の定義」「自己愛性人格障害の定義」についてもご一読ください。