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恥の投影による価値下げ@誇大型自己愛性人格障害

自己愛性人格障害の防衛機制「価値下げ」:

価値下げは、誇大型・抑うつ型に限らず自己愛性人格障害の人々が頻繁に用いる防衛機制ですが、父を見ていると誇大型自己愛性人格障害の人々の場合、価値下げは自己の中にあるの感覚を他者に投影し、その投影した相手を軽蔑に値する存在と感じることから起こる現象のように思えます。

介護する母を罵り続ける父…

昨年末、一泊だけして母と弟と共に父の見舞いに行った時のことです。父は糖尿病の治療を嫌がり長いこと放置していたため、合併症を次々と発症し入退院を繰り返す毎日を送っています。視力もほとんど失われ本人いわく「もう相手の顔の輪郭しか見えない」状態です。
ところが、ほとんど視力が失われているはずのその父が、母に対して一挙一頭足の揚げ足を取り「バカだ。ボケた。頭がおかしい。」と罵り続けます。その時の父の顔は「こいつは救いようのない奴だ」と言わんばかりの蔑みの表情に満ちていました。
もともと父には他者を軽蔑する傾向がありました*。今ほど頻繁ではないにせよ、私が子どもの頃から母や(母方の)祖母を同じように罵っていましたし、家で会社の話をする時も同僚や上司を捕まえて「あいつはどうしようもない奴だ」といった話に終止していました。
この時は「輪郭しか見えないはずなのに、なぜ母のちょっとした失敗が全部判るのだろう(本当は良く見えているのか?)」「介護してもらっている相手を何で罵り続けるのだろう(情けなく感じるのは、むしろ介護されている自分の方にではないのか?)」と疑問が浮かびました。
*したがって、これは認知症の傾向を示すものではないと思われます。

誇大型自己愛性人格障害の「恥の投影」による価値下げ:

ところがその後、先の父のことが気になりながら自己愛性人格障害の本を読み進めているうちに、どうも父は誇大型自己愛性人格障害の傾向が強いのでは? と思えてきました。そう考えると、入院先での父の母に対する態度にも納得がいきます。
現在の父の状態は、これまでずっと蔑みの対象であった母に、今は介護を受ける身に甘んじている…こんな屈辱はないのではないでしょうか?
父はその屈辱に耐えられずに恥の感覚を母に投影し、これまで以上の価値下げを行うことで何とか自尊心を保っているような気がしてなりません。
投影ほかの「防衛機制」解説本
※「人格障害の定義」「自己愛性人格障害の定義」についてもご一読ください。

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