妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症・うつ病・躁うつ病の関係妄想は対人関係の象徴-自由連想法による夢分析・治療237回から次のような洞察が得られました。
悲観主義や絶望を生み出す関係妄想的空想:
自由連想法による夢分析の結果、「自分の人生が不幸な目に遭うように何者かに操られている」との妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症などで生じる関係妄想的な空想が、悲観主義や絶望からの投げやりな気持ちや態度を生み出している可能性が示唆されました。
うつ病・躁うつ病と妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症との関連:
このことはうつ病・躁うつ病と妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症との関連をうかがわせます。
悲観主義や絶望の心理は長期化すると慢性的な抑うつ、および抑うつの防衛のための躁状態、すなわちうつ病・躁うつ病へと発展しかねません。そして夢分析の結果からは、悲観主義や絶望の心理の背後には関係妄想的な空想の存在が示唆されています。
したがってうつ病・躁うつ病の治療に際しては、患者さん(クライエント)の関係妄想的な思考に注意を払う必要があるように思えます。
このことは うつ病・躁うつ病において二次妄想(たとえば職場の同僚や近所の人が自分の噂話をしているなど、患者さんの個人的な体験と何かしらの関係がある妄想)がしばしば観察されることからも言えます。
発達心理学的な関係妄想および関係妄想的空想の発生要因:
関係妄想および関係妄想的空想の発生要因を発達心理学的な見地から考察した場合、関係妄想の中で患者さんを操る存在は、乳幼児期から現在に至る中で存在した重要な他者(親・家族・親戚・先生・同級生など)を象徴しているように思えます。
このことを考察するために私自身の人生を振り返ってみると、幼い頃からよく「子供は黙って親の言うことを聞きなさい」という訳の分からない叱られ方をしたのを覚えています。
このように叱られるときに具体的な理由を説明されることはほとんどなかったので、子供心に叱られたのは悪いことをしたからではなく「親や祖母の機嫌を損ねたから」だと自覚していました。
このことは私に「親や祖母の気分次第でいつ叱られるか分からない恐怖」を生み、その防衛策として「常に親や祖母の顔色を伺い、ビクビクしながら生きる態度」を作り出しました。
このような支配的な大人の態度の影響を繰り返し受けることで、上述の「自分の人生が不幸な目に遭うように何者かに操られている」関係妄想的な空想が生み出されたように思えます。
この関係妄想的な空想は、自らの主体性を一切放棄し、他人の気分に翻弄されるがままの人生観をよく表しています。
関係妄想は重要な他者との対人関係の象徴:
したがって、うつ病・躁うつ病や妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症の方の関係妄想は一概に根拠のない妄想とはいえず、その妄想は乳幼児期から現在に至るまでの重要な他者との対人関係のあり方を象徴している可能性があるように思えます。
※関係妄想は妄想性障害・妄想性人格障害・統合失調症・うつ病・躁うつ病以外にも、社会不安障害をはじめとした他の精神障害でも生じる可能性があります。
したがってそれらの精神障害における関係妄想にも同様のことがいえます。
関係妄想ほか、妄想心理の治療・心理学的分析本
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