対人恐怖症の自意識過剰を生む第三の恐怖心理:
これまで私自身の自己分析・自己治療の体験から、対人恐怖症の自意識過剰の心理は「他人の態度がすべて自分への反応」であると感じることと「自分が他人に多大な影響を及ぼす」との万能感から発生し、その幻想は自己愛障害(自他の心理的境界の脆弱性を特徴とする精神障害)から生じている、つまり対人恐怖症の根本的な原因は自己愛障害であると結論づけました。
しかしその後の考察で、対人恐怖症の根本的な原因が自己愛障害であるとの結論に変わりはありませんが、自意識過剰の心理が「相手の反応への恐怖」「過剰な万能感」に加えて、さらにもう一つの恐怖心理からも生じていることが分かりました。
そのきっかけもやはり私自身の女性恐怖症(これも対人恐怖症の一つ)の体験からでした。
女性に対する対人恐怖症でのすべてが他人に筒抜けになる恐怖体験:
あるときカフェでお茶をしていると隣に若い女性が座り、にわかに緊張や恐怖を感じ始めたのですが、その緊張や恐怖の内容は「自分の唾を飲み込む音やドリンクを飲む音、そして呼吸音までもが隣の女性に聞こえて変に思われるのではないか」というものでした。
この恐怖はもちろん自意識過剰的な心理から生じているわけですが、恐怖を感じる対象は女性の反応(被害妄想的な恐怖)でもあるのですが、それ以上に強くに感じられたのが自分から出る音が女性に知られてしまう恐怖でした。
この恐怖は過剰な万能感の表れとも言えますが、私が主観的に感じていた恐怖は自分のあらゆることが他人であるその女性に伝わってしまう、言葉を変えれば自分の生理的・心理的なあらゆることが他人に筒抜けになってしまい何も隠しておけない恐怖でした。
もし生理的な音・考え事・気持ちが他人にすべて筒抜けになってしまうとしたら…恐怖のあまり人と会うことなどできなくなり、心理的にも物理的にも引き篭もってしまうでしょう。
しかしそのときの私の心を支配していたのはそのような恐怖でした。
重症化するとシゾイド型人格障害・統合失調症に:
このような「生理的・心理的なあらゆることが他人に筒抜けになってしまい何も隠しておけない恐怖」はシゾイド型人格の人(俗にシゾイド人間)が共通して感じる恐怖とされ、R.D.レインによるシゾイド型人格の人の深層心理を現象学的に記述した名著『ひき裂かれた自己―分裂病と分裂病質の実存的研究』にも頻繁に出てきます。
またこの恐怖が高じて心理的・物理的な引き篭もり傾向が強まるとシゾイド型人格障害、さらに完全な心理的引き篭もり状態になると統合失調症(の陰性反応)と診断される可能性があります。
自己愛性人格?シゾイド型人格?
私は性格的には自己愛性人格だと自己分析していますが、自身の対人恐怖症的症状にシゾイド人格の人が抱える恐怖が隠されていたことを考えますと、私は自己愛性人格のみならずシゾイド型人格の傾向もかなりあるようです。
事実DSM-4の回避性人格障害(抑うつ型の自己愛性人格障害)とシゾイド型人格障害の診断基準のどちらにもそれなりに当てはまる所がありますし、『パーソナリティ障害の診断と治療』を読みますと自己愛性パーソナリティほどではないにせよ、シゾイド パーソナリティの章にも自分の性格との共通点を数多く見出すことができます。
このような自身の複数の人格傾向を考えますと、対人恐怖症の症状や自己愛障害(自他の心理的境界の脆弱性による障害)の観点から見た場合の各人格障害の心理や防衛機制に考えが及びました。
関連ブログ:自己愛障害・対人恐怖症の観点から見た回避性人格障害・自己愛性人格障害・シゾイド型人格障害-自己分析(作成中)
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