共依存的なDVの被害者の方が支援者に期待することが今回のテーマ
前回の「共依存的なDVの被害者は、関係を断つためには加害者の許可が必要と考えている人が多い〜ドラマ『きみが心に棲みついた』を例に」に引き続き、今回も共依存の傾向が見られるDVの事例について検討します。
前回の記事では、DVの被害に遭われている方の中には、加害者の暴力から逃れるために別れるには、その加害者から別れることに納得してもらう必要があると考えており、その考えが別離を難しくしている点について触れました。
今回は、そのようなお考えを持つ方がDVの支援者に期待することについて考察します。
前回の記事でも指摘しましたが、少なくてもそれは「無理やりにでも引き離して欲しい」ということではないようです。
補足)前回の記事と同様、考察対象を明確にする目的で、加害者・被害者という用語を使用しています。
共依存の傾向が見られるDV相談で求められるアドバイスの特徴
今回のような共依存の傾向が見られるDV相談のケースでは、求められるアドバイスの多くが次のようなものである傾向があります。
- どうしたら相手に別れることに納得してもらえるか
- 相手が暴力や暴言をやめてくれるようになるためには、どのように接したら良いか
共依存的なDVの被害者の方の願いは恐らく「加害者を変えたい」ということ
上述の2つの願いに共通しているのは、変化させたい対象が自分に危害を加えている加害者であるということです。
これは関係が絶たれるにせよ維持されるにせよ、加害者が変わることで問題は解決すると相談者の方が考えていることを意味します。
DVの支援に関するセオリーに固執すると支援に失敗してしまう
しかし残念ながらDVの支援に関するセオリーは、加害者と被害者とを速やかに引き離すというものであり、前述のような相談者の方のニーズは考慮されていません。
ですからこのミスマッチが、支援が失敗するケースの一因となっていると考えられます。
私自身も当初はそのセオリーに固執するあまり、必死に説得するような展開となってしまい、相談者の方と対立するばかりになってしまいました。
次回はその相談者の方の願いでもある加害者を変えることについて考察する予定です。