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性自認とジェンダー観とは、どれほど相関関係があるのか?~性自認の自己分析その1

5日前に「心の性(性自認、ジェンダー・アイデンティティ)についての自己分析」を書きましたが、その時以来たびたび性自認(ジェンダー・アイデンティティ)と呼ばれる自分の心の性のことが気になり、それに関する学生時代のエピソードが思い出されるようになりました。

なぜなら前回のブログで、心の性の質問に対して男と即答したにも関わらず、よくよく思い出してみると、それほど確信が持てるわけではないからです。

学生時代、両親から「女のような気持ちの悪い男」と思われていた

特に印象的だったのは、高校生の時のJAPANに関するエピソードです。
若い方はご存知ないかもしれませんが、1974年のデビュー時から本国イギリスよりも日本で先に人気に火がついたロックバンドです。
今日ではヴィジュアル系にカテゴライズされると思われますが、当時は耽美派と称されていました。

※参考ページ:https://middle-edge.jp/articles/I0002588

彼らは化粧をしていたため、そのように思われていたのかも知れませんが、私がこのJAPANの熱心なファンであることに対して、母がかなり激怒していました。
心底、気持ち悪がっていたことを覚えています。

もっとも私は彼らの真似をして化粧をしていた訳ではありませんので、母の嫌悪感は別のところにありました。それは私の性格です。

母からはよく、私が神経質な性格なのは、こんな気持ち悪いバンドを好きになったからだ、あるいはそんな女々しい性格だから、こんな気持ちの悪い人たちのことを好きになるんだ、と言うようなことを言われた覚えがあります。
また父からはJAPANの事とは関係なく、よく女の腐ったような奴と言われたのも覚えています。

このように両親から見れば、学生時代の私は女のような性格の気持ちの悪い男でしたので、性自認の質問に対して男と即答したのは少々意外ではあります。

性自認とジェンダーとは、どれほど相関関係があるのか?

また両親から女のような性格と思われていたと言うことは、私の態度が男に期待される性役割(ジェンダー)とは随分かけ離れていたことを示していたと考えられます。

このことに関して、前回も参照した『愛・性・家族の哲学 第2巻 性―自分の身体ってなんだろう?』に、次のようなことが書かれています。

小さい頃から、自分の性の区分を毎日認識させられることで、「自分は男だ」「自分は女だ」という意識が植えつけられていくと考えられています。(同書P.44)

これは性自認が生じる一般的な過程を示したものですが、性自認はジェンダー・アイデンティティとも呼ばれるように、この認識過程によって「男らしさ」「女らしさ」という価値観(ジェンダー観)も同時に植えつけられていくことも想定されているはずです。

ところが先ほどの高校時代の私は、性自認を女と認識していた訳ではなく、また好きになる性も女でした。
つまり現在と3つの性の認識はまったく同じですが、現在は母から性役割に関する嫌悪感を向けられることは、まったくと言って良いほどなくなりました。

以上の自己分析から、性自認とジェンダー観とは、大多数の人はその性が一致している(相関関係がある)としても、私のように不一致な人も存在し、なおかつ同じく私のケースのように、その関係は変化することもあると言えそうです。

引用文献

藤田尚志、宮野真生子著『性 (愛・性・家族の哲学 第2巻)』、ナカニシヤ出版、2016年

一般の方向けに書かれた書物のため非常に分かりやすく、また参考文献も一部に解説文が添えられているなど充実していますので、セクシュアリティ(セクシャリティ)やジェンダーに関心がある方への入門書してオススメです。

藤田尚志、宮野真生子著『性 (愛・性・家族の哲学 第2巻)』

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