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箱庭で心にまだ未分析なトラウマレベルの領域が残っていたことを知る

箱庭の実施を楽しみにしていた

少し前の所属ギャラリーの当番での出来事です。
今回の展示では、ユング心理学で用いられる箱庭が設置され、誰でも試すことができるようになっていました。

私は若い頃に精神世界にハマり、その一環でユング心理学にかなり傾倒していました。
また現在は心理臨床でユング心理学を援用することは滅多になくなりましたが、2013年から始めたアーティスト活動では大いに活用しています。
今現在もユングの『転移の心理学』の挿絵をモチーフとした、錬金術の作品を製作中です。
このため今回の当番の際も、ぜひ試してみたいと思っていました。

いざ箱庭の前に立つと、急に得体のしれない不安に襲われた

箱庭

ところが、いざこちらの箱庭の前に立つと急に得体の知れない不安に襲われました。
しかし今は新型コロナウイルスの影響で経済的な不安が生じていますが、この時はまだそれほど影響はありませんでした。
そもそも想定内の悩みでしたら、それが箱庭で再現されても心の準備ができているため、これほど強い不安を感じる必要はないでしょう。

このため気のせいだろうと思い再び箱庭を始めようとすると、途端にまた先ほど経験したような強い不安が襲って来ました。

自己分析を徹底的に行ってもなお、未分析なトラウトレベルの領域が残っていた

私はこのブログでも公開していますように、2007年から2008年にかけて、回数にして350回以上の自己分析を、精神分析の自由連想法という技法を使って行いました。
このため自分の心の特徴を、それなりに理解できていると思っていました。

しかし今回箱庭に取り組もうとしただけで原因不明の強い不安に襲われたことから、私の自己理解の程度は想定していた程ではなかったことが判明しました。
またその不安の強さから、何かトラウマレベルの心の傷が抑圧されていることを示唆しているようにも思えました。

箱庭は無意識の意識化にかけては非常に効果的な技法

もっとも見方を変えると、取り組もうとしただけで長らく無自覚だった心の領域(無意識)が活性化されたのですから、箱庭療法というユング派の技法は、無意識の意識化にかけては非常に効果的なものと言えるのかもしれません。

なお、今回の私のように不安などの症状に襲われた人が箱庭を作るのは危険かと言えば、必ずしもそうとは限りません。
箱庭は臨床の場では心の病の治療に使われて来ましたので(=箱庭療法)、物理的にも心理的にも安全が確保された場で行われるのであれば、よほど強い不安に圧倒される状態でもない限りは、効果が期待できるのではないかと考えられます。
これは、たとえすぐに症状に改善が見られなかったとしても、創造的な行為自体が心にプラスに働くことが期待できるためです。

しかしそれでも、この時の私には、来場者がいない時でも、自分の心と向き合うために必要とされる十分な安全が感じられませんでした。
確実に一人で箱庭の作業に没頭できる空間が必要だったのです。だからこそ躊躇してしまったのだと思います。

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