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真夜中の電話:

抑うつ状態への対処による うつ病予防-自己分析での重度の抑うつ状態が解消してから数日後、今度は幻聴を体験しました。
その日は睡眠障害気味であまり眠れず、うとうととしては目が覚めることを何度か繰り返していたのですが、真夜中に突然電話の着信音がなり胸騒ぎとともに飛び起きました。
「胸騒ぎ」がしたのは以前に父親の死の報せを受けたのが真夜中の電話だったため、今度は母親か祖母が?と不安がよぎったためです。
しかし受話器を取るとすでに電話が切れており、とっさに「きっと真夜中だから迷惑だからと慌てて電話を切ったのだろう。だったらまたすぐにかかって来るに違いない。」と思いしばらく待っていたのですが電話はかかってきません…

極度の不安恐怖(不安障害)を原因とする幻聴:

そのうち不思議なことに気が付きました。着信履歴に今かかってきたばかりの電話の履歴がなかったのです…
そのとき初めて、電話の着信音も受話器を取ったときに聞こえたプープーという音もすべて幻聴だったことに気づきました(@_@;)
おそらく母親の肺がんへの極度の不安や恐怖(不安障害的な症状)が、幻聴という知覚を歪めるまでの状態を生み出したのでしょう。
※一瞬とも思いましたが、それにしてはあまりにも現実感があり過ぎますし、受話器を取ったときには確実に目が覚めていましたので、やはり夢ではなく幻聴だと推測されます。

重度(統合失調症レベル)のパーソナリティ障害を原因とする幻聴:

上述のように、私に生じた幻聴の内容には明らかに個人的には意味がありました。同じように個人的に意味のある幻聴の例が思い出されます。
その方はさまざまな幻聴に悩まされ、病院で統合失調症と診断された数年後に心理カウンセリングを受けられました。
そして心理カウンセリングが進むうちにあることに気づかされました。それは幻聴の内容についてです。
最初のうちはただただ非現実的な内容という印象でしたが、その方の心の世界への理解が進むうちに、幻聴の内容が単に非現実的・支離滅裂なものではなく、その方の心の世界、具体的にはパーソナリティタイプを色濃く反映していることが分かってきました。
幻聴の内容は自己愛性パーソナリティ障害に特徴的な「理想化」と「価値下げ」の防衛機制を極端な形で示していたのです。
したがってこの方はおそらく統合失調症(精神病)水準の自己愛性パーソナリティ障害*だったものと推測されます。
*『パーソナリティ障害の診断と治療』では統合失調症を固有の診断名としてではなく病理水準(精神障害の重症度)として用いることを提唱しており、私もこの考えに共感しています。
具体的には「神経症」「境界性(ボーダーライン)」「統合失調症(精神病)」の各水準に分けられます。

幻覚には意味がある:

一般的には幻聴をはじめとした幻覚は支離滅裂で意味がなく、患者(クライエント)さんを苦しめるだけなため、向精神薬などによる薬物治療ですみやかに症状(幻覚)を消失ないし軽減させるのが治療の目的とされています。
たしかに幻聴をはじめとした幻覚の消失ないし軽減は患者(クライエント)さんのニーズでもあり、そのことが治療で優先されることに異存はありません。
しかしながら上述のように幻聴などの幻覚には個人的に重要な意味(不安恐怖の内容、パーソナリティタイプなど)が秘められている可能性を考えますと、長い目で見れば幻覚を単に支離滅裂で意味がないものとしてではなく、個人の精神世界を表す重要な臨床素材として考えることも有益だと思われます。
幻聴の治療・原因分析本
幻覚の治療・原因分析本

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