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自己分析のテーマとした症状:

知的な女性に対する不安や恐怖心

私は他人から知的に見られることに対して喜びを感じる、言葉を変えれば自尊心の支えとなっているような人間です。
したがって(自分と同じ)知的な印象の人に出会えば、通常は分身自己対象欲求が満たされて気分が良くなってもおかしくないはずです。
ところがカフェなどで知的な印象の(具体的には、端正な顔立ち・パソコンを華麗に使いこなしている・難しそうな本を読んでいるなど)女性を見かけると、なぜか漠然とした不安に駆られたり、ときにはその女性から自分の行動のすべてを密かに見張られているような視線恐怖症的な恐怖心を感じたりします。
さらにより注意深く内省しますと、知的な印象の女性に対して一瞬自分と似た人(分身自己対象)に出会えたことによる喜びを感じますが、すぐにその喜びが抑圧されて代わりに不安や恐怖が襲ってくるようです。
どうやら私は分身自己対象として機能している知的な女性に喜びを感じたことに対して、それがまるで「危険な出来事の前触れ」であるかのように不安や恐怖を感じているように思えます。
そこで本来なら気分が良くなってもおかしくない出来事に対して、なぜ不安や恐怖を感じるのか、その原因を探るべく自由連想法による自己分析を行いました。

自由連想法による自己分析・自己治療:

(ちょうど少し離れた席に知的な印象の女性が座っているので、その女性に注意を向けてみる)
「何、真似してるのよ(怒)」
どうやら知的な女性に対して感じていたのは、女性から「同じように知的に振舞おうとしている」ことに対して真似だと責められることへの不安や恐怖だったようです
(中学のときの記憶)
仲の良かったAさんの親友の女子と、私の親友のM君とが話をしていた
話の輪に入りたかったが、付いていけない話題だったので彼女の話をただ繰り返した…そして「何、真似してるの?」と言われた
ただし怒っている感じではなかった
(もう一つの記憶)
同じく中学の親友のH君
当時彼のことを理想化し、つまり理想化自己対象欲求を向け、彼の服装や言葉遣い、筆跡などを必死に真似ていた
あるとき彼の編み出した独創的な文字を真似ていると、それを見た彼から「何それ?変な文字」と言われた
正直、少なからず傷ついた…確か、褒めてくれないまでも肯定的に受け止めてくれると期待していたはずなので…
いや、もっとショックを受けたのは、彼が独創的な文字のことを自分が書いたことすら覚えていないことだった
それなりに苦労して覚えた文字の書き方を(理想の)彼は覚えてさえいない…
何か自分に対して「まったく関心を向けられていない」ような寂しさを感じた…
いてもいなくても一緒
存在価値がない
それと(理想化していた期待を)裏切られた気分
変な文字…その軽蔑したような言い方に「変な奴」と言われているような気がした
「何勝手に真似してんだよ、気持ち悪い奴だな」そんな声が聞こえてきそうな気がする
そういえば彼は私よりも頭が良かった(=知的)
一度彼が手をつないで来たことがあり、ドキッとした覚えがある
しかし彼の方は全然気に留めていない様子だった
(小学生のときの記憶)
同じように理想化していた画家の又従兄弟
自分では自信があった絵を又従兄弟に見せたところ評価は60点…それに納得できず駄々をこねて80点、最終的には100点の評価を勝ち取った
しかし又従兄弟は呆れた顔をしていた…
高校の頃にもやはり理想化した親友がいて、卒業してから彼の髪型な服装などを真似ていた(ちなみにパンクヘアに安全靴w)
やはり彼からもちょっとでも非難されると、かなり凹んだ…
子供の頃の私は明らかに、理想化自己対象からの承認を支えにして生きていた
そうか!私は知的な女性を分身自己対象としてではなく理想化自己対象として見ていたのか
だからその理想化自己対象である知的な女性から、また学生の頃のように酷いことを言われるのではないかと怯えていたのか

自由連想法による自己分析・自己治療からの洞察:

理想化自己対象とのトラウマによる知的な女性への女性恐怖症

知的な印象の女性に対する不安や恐怖心の自己分析から、私は無意識に知的な女性に対して分身自己対象欲求ではなく理想化自己対象欲求を向けていることが判明しました。
その結果かつてのようなトラウマ(心的外傷)的な体験の再燃を恐れる気持ちが、知的な女性への不安や恐怖心という女性恐怖症的な症状を作り出していたものと思われます。
また自由連想法の中で知的な女性に注意を向けたとき、真っ先に「何、真似してるのよ」という怒りに満ちた反応が返ってきたことは、理想化自己対象との間のトラウマ的な体験の中でも、中学のときにH君の承認を得られなかった出来事がことさらショックだったことを物語っているようにも思えます。

理想化自己対象とのトラウマへの知的洞察の効果

最後に以上のような洞察を得ても、私の心には何ら不安や動揺が生じることなく平常心のままでした。
このことは、かつての理想化自己対象欲求とのトラウマ的な体験があまりに辛かったため、その心理的苦痛は抑圧されたまま知的な内容のみが想起されたことを示しています。
このような知的洞察では症状の軽減や解消の効果はあまり期待できず、したがって今しばらくはこれまで同様、知的な女性に対する不安や恐怖心を感じ続けることが予想されます。
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