躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の誇大妄想の心理:
前回の自己分析(躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の抑うつを解消するための誇大妄想の心理-自由連想法による自己分析・治療239回)では躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方の誇大妄想の心理について考察しました。
しかし躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方にとって、生活の障害となっている誇大妄想に気づき改善や治療を行うことは、以下に述べる理由から困難であることが予想されます。
興味として感じられる躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の誇大妄想の心理:
躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方は辛い抑うつ状態を解消するために否認などの防衛機制を用いて誇大妄想の心理状態を作り出すと考えられますが、主に私自身の自己分析からの洞察によれば、誇大妄想は主観的には誇大妄想とは微塵も感じられず、むしろ興味や好奇心として体験されます。
興味や好奇心であれば一般的には肯定的な感覚と思われていますので、誇大妄想が病的な心理として体験されることはほとんどありませんし、他人から指摘される可能性も高くはありません。
(私自身、何年も経ってから「あれは誇大妄想だったのか」と気づいたことがありました。それでは後の祭りですが…)
躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の誇大妄想による挫折の心理:
このため躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方には(主観的には興味と感じられる)誇大妄想に突き動かされて、次から次へと新しいことにチャレンジする傾向が生じます。
しかしその動機が誇大妄想の心理によるものであり自己の能力が過大評価されているため、努力の必要なく、あるいはほんの少しの努力で、誇大妄想で思い描いた自分の輝かしいイメージが達成されるかのような幻想を抱きがちになります。
その結果待ち受けているのはほとんどの場合、辛い現実に直面したことによる挫折…そして躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方が最も恐れている抑うつ状態です。
大変皮肉なことに躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方の辛い抑うつ状態を解消するための努力は、一時的には抑うつ状態の解消に役立つものの、往々にしてさらなる抑うつ状態を招いてしまいます。
躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害は飽きっぽい性格?
ところが誇大妄想の心理が興味や好奇心という名の厄介な仮面をつけて登場してくるため、躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方には度重なる挫折の体験が単に飽きっぽさ・堪え性のなさとして体験され、また周囲の人からも飽きっぽい性格とのレッテルを張られてしまいます。
躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の誇大妄想は抑うつ解消の努力:
しかしこれまでの考察が正しければ、躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方の次々と新しいことに手を染める様は、無意識の誇大妄想的な心理に翻弄されてのことです。
したがって躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の方が「飽きっぽい性格」とは限らず、また誇大妄想についても、それは自己満足を得ることを目的としたものではなく、あまりにも辛い抑うつ状態を解消するための「努力の表れ」と考えられます。
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