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抑うつ型自己愛性パーソナリティ(障害)に潜む罪悪感からの自殺衝動と人の役に立ちたい気持ち-自由連想法による自己分析・治療265回での体験から、自己愛性パーソナリティ障害・回避性パーソナリティ障害(抑うつ型自己愛性パーソナリティ障害)および自己愛性パーソナリティ的な性格の心理状態について以下のような新たな洞察を得ました。

自己愛性パーソナリティにも生じ得る罪悪感からの自殺衝動:

精神医学では一般的に自己愛性パーソナリティ障害の方に見られる尊大な態度や特別意識は、誇大な理想自己(理想的な自分のイメージ)から生じていると理解されていますが、私の自己分析で明らかになった理想自己は「他人の役に立つ」というものでした。
そしてその理想自己が高すぎる(誇大的)がゆえに自分を役立たずで何の価値もない人間だと思い、そのような人間は生きていても他人に迷惑をかけるだけだから死んでお詫びするしかないと考え(過剰な罪悪感)、重度の抑うつ状態に陥るたびにしばしば自殺衝動に駆られていました。

自己愛性パーソナリティ障害・回避性パーソナリティ障害にも生じる、うつ病様の罪悪感からの自殺衝動:

このような症状は、うつ病(うつ病性障害)の悪化により自殺衝動に駆られている方を連想させます。
したがって普段から抑うつ状態に陥り極度の対人恐怖症的症状に悩まされる回避性パーソナリティ障害(抑うつ型自己愛性パーソナリティ障害)の方のみならず、普段は理想化や否認などの躁的な防衛機制の働きにより誇大な理想自己に満たされていると思われる自己愛性パーソナリティ障害の方であっても、ひとたび外傷的な出来事などにより防衛機制が上手く機能せず抑うつ状態に陥れば、(私の例のように)抑圧されていた罪悪感が蘇り、うつ病の方と同様の自殺衝動に駆られる可能性があると考えられます。
実際、過去の心理カウンセリング夢分析を振り返ってみますと自己愛性パーソナリティ障害と診断、ないしその傾向が強いと考えられるクライエントさんにも自殺企図自殺念慮が見られる方がいらっしゃいました。
しかしこのことは定義上、普段は躁的な防衛機制により罪悪感などの心理的苦痛が回避されていると想定される自己愛性パーソナリティ障害の方が(少なくてもご自身の意思で)心理カウンセリングを希望される場合は、躁的な防衛機制が機能せずに抑うつ状態に陥っている可能性が高いことを考えますと、むしろ当然なのかもしれません。

うつ病とパーソナリティ障害との併発:

また自己愛性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害(抑うつ型自己愛性パーソナリティ障害)にも、うつ病様の罪悪感からの自殺衝動が生じると致しますと、パーソナリティ障害のようなⅡ軸障害と うつ病のようなⅠ軸障害とがそれぞれ独立して生じるとは限らず、場合によっては併発しうることを示しているように思えます。
たとえばうつ病性障害の診断基準を満たした自己愛性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害といった多軸診断です。
(私の理解ではDSM-IVにおいてはこのような多軸診断が推奨されているはずです)
さらにこのことは近年問題となっているうつ病再発などとも関係しているのかも知れません。
うつ病などを原因とした自殺の心理 心理学的分析本

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