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心の性(性自認、ジェンダー・アイデンティティ)についての自己分析

『性―自分の身体ってなんだろう?』の性に関する質問表

『性―自分の身体ってなんだろう?』という本を読んでいますが、この本の第2章の冒頭に次のような性に関する質問表が掲載されていました。

身体の性   男 or 女
心の性    男 or 女
好きになる性 男 or 女

このように人間の性には3つの要素が存在するそうですが、私が特に気になったのは心の性についてです。

心の性の意味とその影響

心の性とは、自分がどの性であると認識しているのかを示す概念で、性自認、ジェンダー・アイデンティティとも呼ばれます。
またこの概念は、性別の単なる区別ではなく、ジェンダー・アイデンティティと呼ばれているくらいですから、アイデンティティの重要な構成要素の1つともなり、したがって自尊感情などにも少なからず影響を与えることになります。

心の性を男性と自認してはいても、その根拠は極めて曖昧…

ちなみに私の回答は次のようになりました。

身体の性   男
心の性    男
好きになる性 女

恐らく大多数の男性と同じ答えでしょうが、私がふと気になったのは前述のように心の性についてです。
心の性は?と聞かれて、すぐに男と思いましたが、なぜ男だと思ったのか、その根拠がハッキリしないのです…

そこで今一度その根拠について考察してみると、どうも体が男なのだから、そして恋愛感情を抱くのが女性だから、特に前者の理由の影響が大きいようです。
しかしこの論理では、わざわざ「心の性」という別の概念を設ける必要がありません。
他の要素によって自動的に決まってしまうからです。

以上のように身体の性と心の性が一致し、かつ異性愛の感情を抱く人とにとって、心の性という概念はそれほど重要なものではないと言えます。
そして重要ではないからそこ、普段それについて考えることもないのだと考えられます。

性的マイノリティに属する人々は、否応なく「心の性」を意識させられる

ところが3つの性の要素のパターンが私の例とも、あるいは「身体の性=女」「心の性=女」「好きになる性=男」とも異なる場合は、否応なく心の性について意識させられることになります。
これがLGBTQ+またはLGBTs*と呼ばれる性的マイノリティに属する人々です。

*一般に広まるLGBTの使用を避けたのは、この4つのカテゴリのどれにも該当しない人々も存在するためです。

なぜならこれらの人々には、心の性が他の要素と一致しなかったり、あるいはその時々で変化したり、さらにはどちらの性も選べない(しっくりこない)ようなケースが生じると考えられているためです。

心の性という感覚が生じる要因は謎のまま…

『性―自分の身体ってなんだろう?』では、その後のページでトランスジェンダーの例を中心に、心の性についての考察がなされていますが、私はその説明を読んでもなお、心の性という感覚が生じる要因がハッキリしませんでした。

この疑問点についての考察は自己分析から離れてしまいますので、近日中にカウンセリングのサイトの方に掲載する予定です。

補足)よろしければ皆さんも冒頭の3つの性について回答し、特に心の性についてなぜそう思ったのか、その理由を探ってみてください。
もしかしたら思わぬ自己発見があるかもしれません。

引用文献

藤田尚志、宮野真生子著『性 (愛・性・家族の哲学 第2巻)』、ナカニシヤ出版、2016年

一般の方向けに書かれた書物のため非常に分かりやすく、また参考文献も一部に解説文が添えられているなど充実していますので、セクシュアリティ(セクシャリティ)やジェンダーに関心がある方への入門書してオススメです。

藤田尚志、宮野真生子著『性 (愛・性・家族の哲学 第2巻)』

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