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躁的な防衛機制による仕事・趣味への偽りの興味と自尊心・自己肯定感との関係-自己分析・治療 目次:

自尊心・自己肯定感を高めるために生じる仕事・趣味への偽りの興味
飽きっぽい性格との自己評価による自尊心・自己肯定感の低下
キャリアアップに結びつかない職業選択・転職を生む偽りの興味
偽りの興味による職業選択の失敗は防止困難
偽りの興味の背後に働く躁的な防衛機制

女子生徒の いじめが原因でオシャレが自尊心回復の支えに-自由連想法による自己分析・治療での自己洞察から、仕事や趣味への興味に関する過去の苦い体験が思い起こされました。

自尊心・自己肯定感を高めるために生じる仕事・趣味への偽りの興味:

以前に躁病・躁うつ病・自己愛性パーソナリティ障害の興味と誇大妄想の心理-自己分析でも触れましたが、これまでの人生を振り返りますと、仕事や趣味への興味というものが純粋な興味や好奇心というよりも、もっぱら傷ついた自尊心を回復、あるいは失われた自己肯定感を取り戻すための防衛機制(躁的防衛)として機能してきた観があります。

飽きっぽい性格との自己評価による自尊心・自己肯定感の低下:

このため自尊心や自己肯定感が高まれば、いわば偽りの興味はその役割を終え急速に消滅してしまいます。
そして興味に突き動かされ仕事や趣味の没頭する状態と、ある日突然まったく興味が持てなくなりすべてを投げ出してしまうこととを繰り返すことで「自分は飽きっぽい性格」との自己評価が下され、さらに同様の他者評価を受けることにもつながりました。
こうして本来は失われた自尊心・自己肯定感を高めるために機能するはずであった新たな仕事や趣味への興味・好奇心が、その後の急速な消滅により「飽きっぽい性格」とのネガティブな自己評価を生み、このことが皮肉にもさらなる自尊心・自己肯定感の低下を招いたのでした。

キャリアアップに結びつかない職業選択・転職を生む偽りの興味:

また偽りの興味は仕事で自尊心が傷つく体験をするたびに生じたため、後先を考えない衝動的な転職願望を引き起こし、キャリアアップにはまったく結びつかない職業選択を生み出しました。
ところが大変奇妙なことに当時の私は、それらの転職をすべてキャリアアップと認識していました。
たとえば最初に就職した会社を辞めるときには「これは東京に進出するために必要な就職だったのだ」といった調子で…

偽りの興味による職業選択の失敗は防止困難:

しかし当時は新たな仕事や趣味への興味が偽りではなく純粋な興味として感じられたため、上述ような職業選択の失敗を未然に防止することはできませんでした。
ところで偽りの興味をそれと見抜けないのであれば、いっそのこと自分の興味というものを一切信じないようにすることにすれば事態は解決するのでしょうか?
おそらく答えはノーでしょう。「私は○○したい、だからしない」という信念はあまりに自虐的であり、このような自虐的な信念の元に充実した人生を送れるとはとても思えません。
このような信念を持って生きるのは、昼ドラの愛憎劇の主人公ぐらいのような気がします。
少々話が脱線してしまいましたが、結論としては偽りの興味をそれと見抜くのは大変難しく、多くの場合は困難に陥って初めてそのときの選択が失敗あったことに気づくような気がします。
このことの実例として、ある職業選択にまつわる過去の体験についてお話させていただきます。
当時の私は公認会計士の受験失敗が元で受験ノイローゼ(神経症)に陥り、現在のスーパーバイザーである心理カウンセラーの心理カウンセリングを受けていました。
いつまで経ってもこの先の仕事が決められず焦燥感に駆られていた私は、あるとき「お前はパソコンの仕事が向いているんじゃないのか」と父親に言われる夢を見て「これは夢が適職を教えてくれたのに違いない」と確信し、心理カウンセラーも私の選択に同意してくれたのでした。
おそらくこのときの心理カウンセラーは、私のその後の挫折を予見してはいなかったのではないでしょうか。もしそのような危険性を少しでも感じ取っていたのであれば、それとなく慎重に決めるように勧めることもできたでしょうから。
このように偽りの興味というものは本人はもちろんのこと、熟練の心理カウンセラーにも分からないほど巧妙な心理なのだと思われます。

偽りの興味の背後に働く躁的な防衛機制:

私自身の偽りの興味の心理を内省してみますと、その背後には理想化・万能感・否認などの躁的な防衛機制が働いていることが分かります。
偽りの興味に突き動かされているときの私は、その新たに興味を惹かれた仕事や趣味が失われた自尊心や自己肯定感を高める救世主のように思え飛びつきます(理想化)。
そしてこれから新たに始める仕事や趣味で成功するための才能が、自分には最初から備わっているような自信に満ち溢れ(万能感)、その自信を脅かすような都合の悪いことはすべて意識から締め出されます(否認)。
こうして躁的な防衛機制の幻想で美化された自信満々の自己イメージは、やがて現実の厳しさに直面することで粉々に打ち砕かれることになり。このことが皮肉にもさらなる自尊心や自己肯定感の低下をもたらします…
したがって偽りの興味による災難を防ぐためは、偽りの興味を背後で生み出している躁的な防衛機制そのものを治療する必要があるように思えます。
躁的な防衛機制ほか防衛機制 心理学的解説本
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