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不安障害の症状は脳の条件反射

心理的洞察を得ても症状が軽減しない不安障害:

私は心理療法、特に精神分析的な心理療法(精神療法)に惹かれているため、これまで自分自身の不安障害的な症状について自由連想法などを用いて心理的洞察を得ることで症状の軽減を図ろうと試みてきました*。
しかし不安障害に分類される精神障害(パニック障害PTSD(心的外傷後ストレス障害)
恐怖症・強迫性障害・社会不安障害・全般性不安障害など)については、いくら症状への心理的洞察を得ても肝心の症状軽減になかなか結びつきませんでした。
*関連ブログ:心理カウンセラーの自己分析の記録

不安障害の症状は脳の条件反射:

ところが最近読んだ心理臨床の本の中に、不安障害についての興味深い記述がありました。
要約いたしますと、不安障害の症状は「脳の扁桃核と呼ばれる部位に刻印された刺激への条件反射」によるものであり、したがって不安障害は(条件反射を生み出したもともとの心因があったとしても)心の病気というよりも脳の病気と言えるそうです。
不安障害の症状が脳の扁桃核の条件反射によるものであることから、いくら症状に対する心理的洞察を得ても(穏やかに扁桃核の条件反射を抑えていく効果はあるにせよ)それが即座に症状消失につながらなかったわけです。

不安障害の治療は症状消失よりも適応:

同書には不安障害の治療として、抗不安薬などによる薬物療法や、系統的脱感作・認知行動療法などの心理療法が挙げられていますが、いったん条件付けられた扁桃核の反応を容易に消し去ることは期待できず、治療は長期に及ばざるを得ないようです。
したがって不安障害の治療は症状の消失よりも、症状を抱えつつ少しでも楽に社会生活を営めるようになる、つまり不安症状への適応を目指すことが治療の中心となることが述べられています。
私が失禁恐怖症の治療として止むに止まれずとった方法(紙オムツ)は、もしかしたらベストな選択だったのかもしれません。
関連ブログ:紙オムツで失禁恐怖症克服
参考書籍:脳科学と心の臨床―心理療法家・カウンセラーのために

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