自己分析のきっかけとなった症状:
NHK『乙女のパンチ』・テレビ東京『ウォーキンバタフライ』・日本テレビ『正義の味方』・TBSテレビ『恋空』など、自己愛の強い主人公のドラマへの嫌悪感。
※ここに挙げたのは自己愛ドラマのほんの一例です。なお「正義の味方」はある意味、自己愛を皮肉っているナンセンスドラマのようです。
また「恋空」を自己愛ドラマと呼ぶのは相当反感を買いそうです。巷では究極の純愛小説として評価されているわけですから^^;
自由連想法による自己分析・自己治療からの洞察:
最近上述のドラマに限らず、自己愛の強い(中には自己愛性パーソナリティ障害と診断されかねないような)主人公が出てくるドラマを見ていると、自分の中の自己愛的な性格を見せつけられるためなのか激しい嫌悪感を感じます。
自己愛の強い(自己愛性パーソナリティ障害の)主人公から見たドラマの世界
先日も「乙女のパンチ」を見ながら主人公の乙女の自己愛の強さや、その自己愛の強さに周囲の人々が押し切られて結局(なぜか)幸せになっていくというストーリー展開にやはり激しい嫌悪感を抱いたのですが、ある瞬間次のような洞察がありました。
もしかしたらこのドラマは自己愛の強い(自己愛性パーソナリティ障害とも思える)主人公から見た世界なのかもしれない。
絶対に正しいと確信している主人公の考えが人々をどんどん幸せにして、感謝や賞賛の的となる…そのような自己愛の強い(ないしは自己愛性パーソナリティ障害の)主人公にとっての理想的な世界を投影したドラマなのではないか?
自己愛ドラマとはかけ離れた現実社会
このように考えると自己愛ドラマのストーリー展開がとても腑に落ちると同時に、(ドラマの主人公ではなく)現実の自己愛性パーソナリティ障害や自己愛の強さに悩まされている人々の状況が理解できるように思えてきました。
自己愛ドラマと違い、現実社会では自分の善意が相手を幸せにするどころか反対に迷惑と受け取られ、それでも(相手のためを思って)熱心になればなるほどますます自体を悪化させてしまいます。
心底相手のためを思ってしていることが、敵意や悪意に満ちた攻撃だと解釈されてしまうのです。
自己愛ドラマの主人公から察するに、自己愛の強い(ないしは自己愛性パーソナリティ障害の)人々の執拗な自己主張と映る行為は熱意の表れであっても、けっして敵意や悪意の表れではないように思えます。
自己愛への価値観の違い
もう一つ、自己愛について感じていることがあります。それは自己愛に対する心理カウンセラーと一般の方々との価値観の違いです。
私のような心理カウンセラーは、自己愛障害(自己愛性パーソナリティ障害もその一つ)をはじめとした精神障害の方々と日頃接し、また自己愛の病理的側面を強調した本を目にする機会が多いためか、自己愛に対してネガティブなイメージを抱きがちです。
それに対して(自己愛性パーソナリティ障害は別として)一般の方々の自己愛に対するイメージは必ずしもネガティブなものではなく、中には純粋・自分の気持ちに正直・自分らしさへのこだわりなどとむしろ肯定的に評価される場合もあります。
自己分析で培われる自己愛へのネガティブなイメージ?
自己愛に対する心理カウンセラーのネガティブなイメージの形成は上述の理由に加えて、トレーニングの一環として課せられる徹底した自己分析にもよります。
精神分析家のアリス・ミラーの著書『才能ある子供のドラマ』*によれば、心理カウンセラーを志す者のほとんどが自己愛に関して何らかの障害を抱えてきた歴史(生育暦)を持つそうです。
そして自己分析の過程で己の自己愛の障害に直面し、またその自己愛の障害がいかに自分の人生にダメージを与えてきたのかを目の当たりにします。
*関連ブログ:
抑うつ的な自己愛性パーソナリティ障害の理解@才能ある子のドラマ/アリス・ミラー
このように心理カウンセラーは己の自己愛のネガティブな面を数多く知っているため、どうしても自己愛に愛してネガティブなイメージを抱きがちになるのかもしれません。
私自身の自己愛に関する自己分析でも、やはり自己愛に関するネガティブな面(自己愛障害)への自己洞察が中心を占めています。
関連ブログ:自己愛性パーソナリティ障害・自己愛障害の自己分析・治療
自己愛性パーソナリティ障害・自己愛障害の治療・心理学的分析本