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自己分析のきっかけとなった本の文章:

お互いにあまりにも親密性を求め過ぎるために、自分と相手との心理的区別がつかなくなり…相手への適切なフィードバックや相互の調律(共感)もない。
早期関係性障害―乳幼児期の成り立ちとその変遷を探る P.152 一部改変)

本による自己分析からの洞察:

自己愛障害の母親の非共感的な母子関係の態度

この本の文章は夫婦の関係性障害について論じたものですが母子関係、より正確には自己愛障害の母親が子供との間に望んでいると思われる母子関係を連想させます。
これまでの母子関係についてなされた自己分析の内容と重複しますが、私の母親は結婚前から自己愛障害的な人間関係(自分と相手との心理的境界が曖昧な人間関係の様式)を築き、それをそのまま母子関係にも持ち込んだようです。
その母親のコミュニケーションの特徴が、ときとして意味がまったく分からないほど著しく調律(共感)を欠いた応答でした。
そして母親の著しく調律(共感)を欠いた応答はその後の考察により、私が母親と同じような気持ちや考えを「当然持っている」との思い込みから生じていることが分かりました。

自己愛障害の母親・父親がアダルトチルドレンを生む

もし母親が、子供が自分と同じ気持ちや考えを持っていると確信していれば、子供の気持ちを共感的に理解しようと努力する必要もありません。なぜならそれは、わざわざ確かめるまでもないほど自明のことだからです。
仮に子供が自分とは心理的に異なる存在であることを示唆する出来事が起きたとしても、それは自己愛障害の母親の信念を変えるには至りません。
そのような子供の態度は、おそらく「本当は同じ気持ちなのだけれど、ちょっと拗ねて母親を困らせているだけの可愛い仕草」などと解釈されることでしょう。
子供の「母親とは違う」という意思表示も、自己愛障害により共感するニーズ自体を欠いた母親には無駄な努力に過ぎないため、やがて子供の方が母親の自己愛障害を受け入れる、具体的には母親の幻想を実現させるために子供が母親の気持ちを共感的に理解してそのニーズを満たす自己愛の延長物として機能するようになります。
このように母親(または父親)の自己愛の延長物としてのみ機能して育った子供はアダルトチルドレンと呼ばれます。

共生期は自己愛障害の母親にとっての理想的な母子関係の投影?

上述の自己愛障害の心理に支配された母親と子供との関係は、マーラーの発達理論における共生期を連想させます。
共生期とは、生まれて間もない赤ちゃんが、しばらくの間は母親との心理的な一体感(一心同体の感覚)で結ばれていると考え、その母親との心理的な一体感を感じている期間を表す用語です。
その後マーラーの共生期の考えは、スターンらにより誤りが指摘されるなどして、今日では自我心理学者を除いては支持する人も少なくなってきているようです。
共生期の仮定が誤りである可能性が高いことと、『早期関係性障害』の記述、そして私自身の母子関係の自己分析による洞察を考え合わせますと、共生期とは自己愛障害的な心理(母子の心理的境界が曖昧な心理状態)に支配された母親による、理想的な母子関係の投影のように思えてきます。
最後に、これまで自己愛障害に陥るとなぜ非共感的になるのか、いまいち腑に落ちませんでした。しかし今回の自己分析でその原因が理解できました。
自己愛障害により「相手も常に自分と同じ考えや気持ち」だと確信していれば、それを確かめたいとは思わないでしょう。わざわざ確かめるまでもないことなのですから。
だから相手の気持ちに共感する必要もないのです。常に同じ気持ち、一心同体なのですから。
この自己愛障害が非共感的態度を生むプロセスへの理解は、自己愛性パーソナリティ障害の方が人間関係で示す態度(具体的にはDSM-Ⅳで列挙されている項目)への新たな理解へとつながりました。
自己愛性パーソナリティ障害・自己愛障害の治療・心理学的分析本
アダルトチルドレン(AC)からの回復・克服・治療・診断ガイド本
共依存 解説本リスト
関連ブログ:自己愛障害の心理が生む自己愛性パーソナリティ障害の非共感的態度-自己分析

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