恐怖心と罪悪感-自己愛的他者操作・アダルトチルドレン・反社会性パーソナリティ障害の自己分析・治療 目次：
自己愛的な母親（父親）の元で育ったアダルトチルドレン（AC）
恐怖心と罪悪感-二つの自己愛的他者操作の手段
自己愛性パーソナリティと反社会性パーソナリティとの違い
・自己愛性パーソナリティ
・反社会性パーソナリティ
自己愛的な母親（父親）の元で育ったアダルトチルドレン（AC）：
アダルトチルドレンの理論によれば、自己愛的な母親（父親）は子供を「気持ちの上では」自分の分身（一心同体）であるかのように感じているため、何でも自分の思い通りになる、また子供がそうするのが当然との信念に支配されていると想定されています。
同時にこれは（あくまで心理的な意味においての話ですが）子供を自分の所有物と見なし、このような母親（父親）の態度は、しばしば子供を自己愛の延長（自己愛の延長物）として扱うと表現されます。
そしてそのような自己愛的な母親（父親）の自己愛的な欲求を満たすことが人生の主要な目的となってしまっているような子供がアダルトチルドレン（AC）と呼ばれます。
またこのような親子関係は共依存とも言われます。
恐怖心と罪悪感-二つの自己愛的他者操作の手段：
しかしこのような説明を受けますと、自己愛的な母親（父親）は自分の思い通りにならないと力ずくにでも言うことを聞かせるために子供を虐待しかねないような印象を持ちますが、実際は必ずしもそうとは限りません。
むしろ母親（父親）の自己愛的な他者操作は、もっと巧妙に行われることが遥かに多いと思われます。
たとえば私の両親を例にとりますと、父親は確かに力ずくで相手を従えるタイプの人間でしたので、もっぱら怒鳴るか叩くかのどちらかでした。
しかし母親の方は怒鳴ったり叩いたりすることも時にはありましたが、それ以上に「ガッカリする」「悲しみに暮れる」などの反応を示す方が遥かに多かったように思います。
いえ、この表現は正確ではありません。正確には怒鳴ったり叩いたりする母親の記憶しかほとんどないのですが、自由連想法による自己分析に表れてくる無意識的な空想の中には「ガッカリする」「悲しみに暮れる」母親への罪悪感が生じてくるのです。
この私の両親の行為を単純化しますと、父親は相手に恐怖心を与えることで自己愛的な欲求を満たし、母親は罪悪感を生じさせることで自己愛的なニーズを満たしていると考えることができます。
※なお、ここでの両親のイメージはあくまで私の印象に過ぎません。したがってここで述べられていることは客観的事実とは呼べず、すべて私の心の中の両親のイメージに過ぎません。
自己愛性パーソナリティと反社会性パーソナリティとの違い：
もっともこのように書きますと、今度は自己愛的な両親があたかも自分の利益のために他人を利用する詐欺師のような、あるいは少なくてもそれを意識的に行っているような印象を与えてしまうかもしれません。
しかしこれも違うような気がします。
おそらく父親は怒鳴ったり殴りたくなるほどの怒りを感じたからそうしたのでしょうし、母親も心底悲しくなったためそうしたのだと思われます。
一応、精神分析の理論上では自己愛的な性格の人（自己愛性パーソナリティ）と詐欺師のような性格の人（反社会性パーソナリティ）とは、他者操作という観点からは次のように区別されています。
自己愛性パーソナリティ
自己愛（自尊心）が損なわれることに対して極度の不安を感じているため、自己愛を満たすことに関心が集中してしまい、その結果多くの場面において自己愛が満たされるように他人を操作せざるを得ないタイプの人々。
反社会性パーソナリティ
自己愛性パーソナリティの人とは異なり、他人を操作すること自体に自尊心の高まり（喜び）を感じるタイプの人々。
また自己愛性パーソナリティ（障害）と反社会性パーソナリティ（障害）とは、恥や罪悪感の有無によっても区別されています。
なお恥や罪悪感の感覚が欠如していると考えられているのは反社会性パーソナリティ（障害）です。
もっとも上記の自己愛性パーソナリティと反社会性パーソナリティとの区別はあくまで理論の上での便宜的な区別に過ぎません。
私自身も、これまで他人を操作すること自体に「心底」自尊心の高まり（＝喜び）を感じるようなタイプの方にお会いしたことはありません。
他者操作の心理 ガイド本
他者操作する人の心理分析よりも他者の心を操作するためのハウツー本の方が圧倒的に多いのは、それだけ他人の心を操作したい欲求を持っている人が多い証なのでしょうか？
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