怒りの自覚・表現vs自己受容-アダルトチルドレンの自己分析・治療 目次:
自己分析のきっかけとなったテレビ番組
・NHK子どもサポートネット「アダルトチルドレン」
テレビ番組による自己分析からの洞察
・怒りの自覚・表現によるアダルトチルドレンからの回復・治療-東ちづるさんの場合
・母親に辛い気持ちを伝えて余計に惨めになった体験
・母親の人生の共感的理解によるアダルトチルドレンからの回復・治療-私の場合
・多様なアダルトチルドレンからの回復・治療方法
怒りの自覚・表現のよるアダルトチルドレンの回復・治療 参考ページ
心理カウンセリングのご案内
自己分析のきっかけとなったテレビ番組:
NHK子どもサポートネット「アダルトチルドレン」
少し前にNHK子どもサポートネットでアダルトチルドレン(AC)が取り上げられていました。
(番組タイトルは忘れてしまいましたが、東ちづるさんが出演されていた番組です)
(あくまで自己分析による洞察ですが)私自身もアダルトチルドレンと感じているため、非常に興味深く拝見させていただきました。
テレビ番組による自己分析からの洞察:
怒りの自覚・表現によるアダルトチルドレンからの回復・治療-東ちづるさんの場合
中でも興味をそそられたのは、ゲストとして出演されていた東ちづるさんのコメントでした。
聞けば東ちづるさんご自身もアダルトチルドレンであり、一年間に渡る個人カウンセリングや母親同席の家族カウンセリング(家族療法)を通じて、ご自身の母親への怒りを自覚し、なおかつその怒りの感情を母親に伝える(表現する)ことを通して徐々にアダルトチルドレンから回復されていったそうです。
もっとも母親に怒りや辛い気持ちを伝えても親子喧嘩になるだけでなかなか理解してもらえず、最終的に「親子でも分かり合えないことがある」ことに気づきアダルトチルドレンから回復されるまでに4年以上の歳月を要したとのことでした。
なお東ちづるさんのケースと同様のアダルトチルドレンからの回復ないし治療方法(親への怒りの感情を自覚し、それを本人に伝えること)は、NHKの別の番組「ハートをつなごう」のアダルトチルドレン特集でも紹介(というよりも推奨)されていました。
母親に辛い気持ちを伝えて余計に惨めになった体験
この東ちづるさんのアダルトチルドレンからの回復・治療体験を聞きながら私は過去のある体験を思い出していました。それは次のような体験です。
(具体的な内容は忘れてしまいましたが)若い頃、母親に対する「これだけはどうしても許せない」と感じることがあり、一言謝ってもらいたくて母親に怒りを伝えようと決心しました。
しかし、いざ母親を目の前にしますと恐怖のあまり体が震え出し、とても怒りの感情を向けられそうにありません。
それでも勇気を振り絞って何とか伝えることができました。ただし怒りを向けることはできず「あのときは辛かった」と言うのが精一杯でした…
すると母親から返ってきたのは、実にあっけらかんとした表情で言われた「あらそうだったの、知らなかったわ」という言葉でした。
私には母親が暗に次のように言っているように思えました。
「何のことだか知らないけど、そんな昔のことを今さら蒸し返して何になるの? いつまでも未練がましくしてないでさっさと忘れてしまいなさい、そんなくだらないこと」
私には一大事だった出来事が母親にとっては取るに足りない、もしかしたら覚えてさえいない出来事だったと知ったときはショックでした。
こうして私の一大決心の行為は満足感を得られないどころか、より惨めな気分をもたらしたのでした(T_T)
母親の人生の共感的理解によるアダルトチルドレンからの回復・治療-私の場合
その後、母親との人間関係に大きな変化が生じたのは、精神分析的な発達心理学の理論に出会ったことがきっかけでした。
精神分析では基本的に脳の器質的な原因を除き、すべての心の病の原因を幼少期の人間関係、なかでもフロイト以後の精神分析では母親と乳幼児との人間関係(母子関係)に求める傾向があります。
精神分析のこの仮説に惹かれた私は田舎の母親に、私が赤ちゃんだった頃や生まれる以前の頃の出来事を尋ねました(幸いそれができる程度の人間関係は保たれていました)。
その話は想像を絶するものでした…
母親の話によれば、結婚と同時に性格が豹変した父親のDV(家庭内暴力)が始まったため、お腹を蹴られるなどして初めて授かった子どもが死んでは大変と思い、私が生まれるまでは父親を決して怒らせないために、どんなに腹が立つことがあっても服従することを誓ったそうです。
こうして我慢に我慢を重ねた末に生まれたのが私です…
この話を聞いたことで母親の過干渉や過剰な期待*の理由が私なりに理解できました。大変な我慢を強いられた末に生まれた私は母親にとって特別な存在なのだと思います。
*東ちづるさんもアダルトチルドレンの主な原因として、母親の過干渉や過剰な期待を挙げておられました。また父親はアルコール依存症だったそうです。
またこれも母親から聞いた話ですが、私は病院で生まれたときにあまり泣き声を挙げず、むしろ周囲を用心深く窺うような仕草をしきりにしたそうですが、この話も私には役に立ちました。
私は物心ついた頃から極度に神経質な性格で、数々の神経症的な症状に苦しめられてきましたが、この話を聞いたことでそれも腑に落ちました。
おそらく母親のお腹にいるときから父親のDVの恐怖をそれとなく感じていた?私にとって、この世の世界というものは生まれたときから安全なものではなく、むしろいつ(父親の気まぐれで)殺されてもおかしくない危険に満ちた世界だったのではないかと考えられます。
このように母親(および祖母)から昔話を聞き、また精神分析の自由連想法を用いて自己分析を行ううちに、いつしか母親の気持ちへの共感的理解が生まれ、また共感的理解の深まりと共に自然と母親への恨み*も消えていきました。
(もっとも、生み育ててくれたことへの感謝の気持ちまでは持てませんでしたが^^;)
*それは単なる怒りというよりも、積もり積もった怒りによる恨みといえるような感情です。
私の場合アダルトチルドレンからの回復は、母親・祖母から子供の頃やそれ以前の話を聞くことや自己分析を通して母親の気持ちへの共感的理解が生まれたことから生じたと言えます。
多様なアダルトチルドレンからの回復・治療方法
ところで途中までは同じようなパターン「母親の過干渉・過剰な期待→アダルトチルドレン的な心理状態の形成」を辿った東ちづるさんと私のアダルトチルドレンの様相も、その後の回復・治療のプロセスは大きく異なっています。
おそらく(あくまで推測ですが)東ちづるさんの場合は私が母親に辛い気持ちを伝えて余計に惨めになった体験で体験したような辛い体験をされても諦めずに辛抱強く母親に働きかけ*、最終的に母親の限界(娘のことを何でも理解できるわけではないこと)を知ったことでアダルトチルドレンから回復されたのではないかと推測されます。
*もしかしたら東さんご本人の意志の強さだけでなく、心理カウンセラーの励ましもあったのかもしれません。
それに対して私の場合は一度の辛い体験で早々に挫折したものの、幸いその後に母子関係をアダルトチルドレンの原因と考える精神分析理論*と出会うことで罪悪感が軽減され、これまた幸運なことに母親から幼少期の話が聞けたことで当時のあまりにも辛い母親の境遇に対する共感的理解が生まれ、その心理的な変化がアダルトチルドレンからの回復に結びつきました。
*当時はウィニコットの母子関係理論を読んでいました。
このように母親の過干渉や過剰な期待という同じような要因から生じたアダルトチルドレンの病理が、その後まったく異なる治療方法で回復が図られたことは、アダルトチルドレンからの回復ないし治療方法が一律ではなく多様に存在していることを示しているように思えます。
※詳細はいずれ別のブログに掲載しますが、今回提示した方法以外にもアダルトチルドレンからの回復に有効な治療方法が他にも存在します。
“私”はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦
東ちづるさんが受けられた心理カウンセリングおよび母親同席の家族カウンセリング(家族療法)の様子が収められています。
アダルトチルドレン(AC)からの回復・克服・症状・原因・治療・診断ガイド本
怒りの自覚・表現のよるアダルトチルドレンの回復・治療 参考ページ:
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手前味噌ですが次のような心理カウンセリングを行っています。アダルトチルドレンで苦しまれていらっしゃる方のお役に立てれば幸いです。
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