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心理カウンセリングの診断的見立てへの自信(過信)が生んだ自己愛的な願望夢-夢分析・治療251回

夢の内容:

夢の中で心理カウンセリングをしている。次々と自分の診断的見立て(心理アセスメント)どおりにクライエントさん(現実の心理カウンセリングのクライエントさん)の精神力動(深層心理)が明らかにされていく。

夢分析からの洞察:

この夢の意味するところは、自由連想法で夢分析を行うまでもなく分かりました。

診断的見立てへの自信

夢に出てきたクライエントさんとの現実の心理カウンセリングにおいて、私はそのクライエントさんの基本的なパーソナリティ(パーソナリティタイプ)を抑うつと見立て心理カウンセリングを進めていました。
初回の診断面接の後、高揚感のような気分に満たされたのですが、それは『パーソナリティ障害の診断と治療』で述べられている、抑うつ性パーソナリティの方に対して生じる逆転移のうちの「救済ファンタジー」に当たると思え、ますます自分の診断的見立てに対して自信を深めました。
またこれは日頃の自己分析の努力が実を結んだ結果とも思え、自尊心の高まりを感じました。その数日後に見たのが、この夢です。

診断的見立てへの自信(過信)が生んだ自己愛的な願望夢

夢の中で行われていた心理カウンセリングは、私の診断的見立ての正しさをさらに証明するかのような理想的な展開をみせ、夢の中の私は興奮を覚えずにいられませんでした。
しかし夢から醒めると、あまりに理想的過ぎる展開にむしろ違和感を覚えました。そしてそのクライエントさんとのこれまでの心理カウンセリングを冷静に振り返ってみますと、私は診断的見立てへの自信からか必要以上に饒舌になり、たびたびクライエントさんの話を遮ってさえいました。
診断的見立てに自信を持つあまり興奮した私はすっかり冷静さを失い、自身の基本的なパーソナリティタイプ(回避性パーソナリティ・抑うつ型自己愛性パーソナリティ)の無意識的でネガティブな一面である尊大な心理状態に陥っていたのです。
夢は診断的見立てへの自信(実は過信)から生じた、自己愛的な幻想の世界が投影された願望夢のように思えます。
※実はこの夢を見る前から「もしかしたら自分は少し有頂天になっているのではないか?」と思い、異常な高揚感に疑問を感じていたのですが、その度に「気のせい」だと否認していました。

夢の治癒力による警告?

最後にこの夢は見立てへの自信(過信)から生じた自己愛的で尊大な態度に気づくきっかけを与えたという点で一見警告夢のように思えます。
たしかに夢が自己洞察への「きっかけ」を与えたのは事実です。しかしこの夢分析の洞察が夢が持つ治癒力の賜物かといえば疑問が残ります。
上述しましたようにこの夢は、私の心の中の自己愛的な幻想世界を映し出したものに過ぎず、治癒力は夢そのものよりも夢分析のプロセス、つまり夢見手の意識の方に存在するように思えます。
たとえばもしこの夢を自己愛的で尊大な心理状態のままで夢分析すれば、おそらく「夢が自分の診断的見立ての正しさを『後押し』してくれているに違いない」と解釈し、天にも昇る気持ちになり、ますます過信の度合いを強めたことでしょう。
したがって夢は無意識の心理を映し出す鏡に過ぎず、その夢を治療的にするのも反治療的にするのも、夢見手の日常の意識次第だと思います。
関連ブログ:夢の治癒力への疑問-夢分析
心理カウンセリングにおける診断的見立てガイド本

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