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自己愛性パーソナリティ障害の尊大で傲慢な態度は、自由を奪われることを防ぐための抵抗-自己分析

自己愛性パーソナリティ障害の尊大で傲慢な態度:

私は回避性パーソナリティ障害(抑うつ型自己愛性パーソナリティ障害)の傾向が強い人間のため、表には出さないだけで内面には自己愛性パーソナリティ障害的な傾向を数多く持っています。
そのような私の自己愛性パーソナリティ障害的な内面や生育暦などから自己分析を進めるうちに、自己愛性パーソナリティ障害についてのDSM-IVの診断基準や世間の印象の一つである尊大で傲慢な態度について、それらが生じる原因(というよりも自己愛性パーソナリティ障害の方に対する誤解)についての洞察が得られました。

自己愛性パーソナリティ障害の過干渉により自由を奪われた生育暦:

自己分析により自身の自己愛性パーソナリティ障害的な傾向に接したとき、その多くが自由を奪われるという感覚から生じていました。
一例を挙げますとパソコンメンテナンスの仕事を始めたばかりの頃、収入が得られる喜びを感じる反面「プライベートな時間を奪われる」ことへの怒りも同時に生じました。
そして、もしこのような怒りを頻繁に人間関係で表出にすれば、私は自己愛性パーソナリティ障害と疑われることとなるに違いありません。なぜならそのような態度は「自分のことしか考えない、極めて自己中心的な尊大で傲慢な態度」と映るためです。
このいわば自分の自由にできる時間を奪われることへの怒りは生育暦と関係があるように思えます。
(あくまで主観ですが)私は子供の頃、特に高校生の頃は母親の過干渉によって自由を奪われることに対して激しい怒りを感じていました。そのため一人暮らしを始めたときは母親の過干渉から解放されたことに心底安堵感を覚えたものです。
これは「自己愛性パーソナリティの人の生育暦の多くには、親の過干渉的な養育態度が見られる」旨の『パーソナリティ障害の診断と治療』の記述とも一致します。
上述の私の仕事に対する怒りは、母親から自由を奪われてきたとの実感から生じた自由を奪われることへの過剰反応的な心理と考えられます。

自己愛性パーソナリティ障害の尊大で傲慢な態度は自由を奪われることを防ぐための抵抗の表れ:

上述の私の仕事に対する怒りが、母親から自由を奪われてきたとの実感から生じた自由を奪われることへの過剰反応的な心理と考えられることから察するに、自己愛性パーソナリティ障害の方の一見「尊大」と思える態度は、これまでの人生で自由を「不当に」奪われてきたとの思いから生じた、これ以上自由や権利を奪われることを防ぐための抵抗の結果である可能性があります。
したがってDSM-IVの自己愛性パーソナリティ障害の診断基準の最後の項目の「尊大で傲慢な行動、または態度」は、治療者や周囲の人々の印象に過ぎず、自己愛性パーソナリティ障害の方が実際に尊大で傲慢な性格とは必ずしも言えないように思えます。

自己愛の延長物としての扱いから生じる自己愛性パーソナリティ障害:

また母親に見られるような過干渉は自己心理学やインナーチャイルドセラピーの理論では、親が子供を自己愛の延長物*つまり「自分の願望を満たすための道具」として扱う心理から生じると考えられます。
したがって親の子供に対する「自分が思い描くとおりの人間に育って欲しい」との期待があまりに大きいことが過干渉につながり、そのような養育態度が自己愛性パーソナリティ障害の(周囲から見て)尊大で傲慢な態度を生み出すと言えなくもありません。
*関連ブログ:抑うつ的な自己愛性パーソナリティ障害の理解@才能ある子のドラマ/アリス・ミラー

自己愛性パーソナリティ障害の尊大で傲慢な態度に対する治療や付き合い方(対応・対処方法):

以上のことから自己愛性パーソナリティ障害の方に対する治療や付き合い方(対応・対処方法)としては、一見尊大で傲慢に見える態度にも、それは「これまでの人生で自由や権利を不当に奪われてきたことから生じた、僅かばかり残されたと感じている貴重な自由や権利を奪われることを防ぐための反応の結果」との視点を持つことが有益と考えられます。
※なお自己愛性パーソナリティ障害の方の持つ「自由を奪われる」感覚は多くの場合無意識的な心理であり、精神分析などの心理療法や自己分析をとおして初めて明らかになる可能性が高いと思われます。
自己愛性パーソナリティ障害 治療・診断ガイド

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