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自動思考の分析・修正-失禁恐怖症・社会不安障害の認知療法による治療

失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に対して「うつと不安の認知療法自習帳」という認知療法の本の自動思考記録表を使って、失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に襲われた際に生じている自動思考の分析・修正を試みました。

自動思考の分析・修正-失禁恐怖症・社会不安障害の認知療法による治療 目次:

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の分析
・状況
・気分・感情
・自動思考
認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の認知の歪みのチェック
・根拠のない決めつけ
・部分焦点づけ
・過大評価・過小評価
・べき思考
・極端な一般化
認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の根拠の列挙
認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考への反証の列挙
認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考に代わる適応的思考の列挙
認知療法で失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考を修正したことによる気分・感情の変化
認知療法の自動思考記録表を作成しての感想

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の分析:

失禁恐怖症・社会不安障害の認知療法による治療のブログにも書きましたように「うつと不安の認知療法自習帳*」という認知療法の本を使って失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自己治療を試み、失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に襲われた際には自己暗示によるリラックス法**を試せばよいことに気づきました。
*関連認知療法ブログ:
うつと不安の認知療法自習帳-うつ状態・不安の否定的な自動思考
**関連失禁恐怖症治療ブログ:
自己暗示によるリラックス法でPTSD様の失禁恐怖症に対処
しかし自己暗示によるリラックス法で失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に対処するだけでは対症療法的ですし、できれば不安症状自体を解消ないし軽減できるに越したことはありません。
そこで「うつと不安の認知療法自習帳」の自動思考記録表を使って、失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に襲われた際に生じている自動思考*を分析することにしました。
*自動思考とは症状に襲われた際に無意識的に頭をよぎるネガティブな思考を指します。

状況

・コンビニでトイレに行きたくなったが、まだ我慢できると思いそのまま我慢して弁当屋へ行ったとき、急に失禁恐怖に駆られパニックになった
・それ以来「いつまた失禁恐怖に駆られるか分からないから」と不安になり、何度もトイレに行くようになった(神経性頻尿(心因性頻尿)*の症状)
*関連病気治療ブログ:神経性頻尿(心因性頻尿)の症状・治療

気分・感情

1) 不安 90%
2) 恥ずかしい 100%
3) みじめ 70%
4) 憂うつ 90%
5) 無力感 90%
6) 後悔 70%

自動思考

1) このまま失禁してしまうに違いない。いつまた失禁恐怖に駆られるか分からない(認知の歪み3)。
2) 人前で失禁すれば軽蔑されるに違いない。それは死ぬほど恥ずかしい。耐えられない。
3) 心の病気に悩まされる自分が情けない。他の人が平気なことが自分にはできない。自分は駄目な人間(認知の歪み2)。
4) このままずっと(一生)失禁恐怖に脅かされ続けるのか。耐えられそうにない。死にたくなるかもしれない。我慢の限界。
5) 自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない(認知の歪み1,3,4)。
6) こんなことになるのならコンビニでトイレに行っておくべきだった。

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の認知の歪みのチェック:

続いて明らかとなった失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の認知の歪みをチェックしていきました。

1.根拠のない決めつけ

自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない。

2.部分焦点づけ

失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に悩まされていることだけをとって「自分は駄目な人間」との自己評価。

3.過大評価・過小評価

一度の失禁恐怖体験を過大評価(いつまた失禁恐怖に駆られるか分からない)。
過去の失禁恐怖症の克服体験*を過小評価(自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない)。
*関連失禁恐怖症治療ブログ:
自己暗示によるリラックス法でPTSD様の失禁恐怖症に対処
行動療法(系統的脱感作法)でPTSD様の失禁恐怖症に対処
認知行動療法(セルフモニタリング)により失禁恐怖症の自動思考(スキーマ)が明らかに

4.べき思考

少し前から神経性頻尿(心因性頻尿)の症状に悩まされていたため、それを克服しなければならない、だから(コンビニで)ここでトイレに行ってはいけないと自分に言い聞かせていた。

5.極端な一般化

一度の失禁恐怖体験をもって「自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない。」と一般化。

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考の根拠の列挙:

続いて失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状で生じている自動思考の根拠(自動思考を裏づける事実)を列挙しました。
1) このまま失禁してしまうに違いない。いつまた失禁恐怖に駆られるか分からない。
→失禁恐怖に駆られる可能性は常にある。
2) 人前で失禁すれば軽蔑されるに違いない。それは死ぬほど恥ずかしい。耐えられない。
→もし本当に失禁すれば相手はビックリするに違いない。
3) 心の病気に悩まされる自分が情けない。他の人が平気なことが自分にはできない。自分は駄目な人間。
→大多数の人は心の病気と言えるほど深刻な精神的悩みを抱えていないことは確か。
4) このままずっと(一生)失禁恐怖に脅かされ続けるのか。耐えられそうにない。死にたくなるかもしれない。我慢の限界。
→可能性としてはゼロではない。
5) 自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない。
→何も対策を行わなければそうなる可能性はある。
6) こんなことになるのならコンビニでトイレに行っておくべきだった。
→コンビニでトイレに行っておけば、おそらく弁当屋で失禁恐怖からパニックにならずに済んだだろう。

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考への反証の列挙:

続いて失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状で生じている自動思考への反証(自動思考と矛盾する事実)を列挙しました。
1) このまま失禁してしまうに違いない。いつまた失禁恐怖に駆られるか分からない。
→たとえどんなに強い失禁恐怖に駆られたとしても、実際に失禁してしまったことは大人になってから一度もない(小学生のとき一度だけ)。
つまり恐怖の強さに反して、人間はパニックになっても簡単には失禁しない(失禁せずに耐えられる)。
また弁当屋で失禁恐怖からパニックになったときも僅か数十秒でパニックは収まった(パニック状態は延々と続くわけではない)。
2) 人前で失禁すれば軽蔑されるに違いない。それは死ぬほど恥ずかしい。耐えられない。
→失禁は確かに恥ずかしいことだし相手もビックリするだろう。しかし実際に失禁してしまったことは大人になってから一度もないのだから、その可能性は非常に低い。
3) 心の病気に悩まされる自分が情けない。他の人が平気なことが自分にはできない。自分は駄目な人間。
→失禁恐怖症や社会不安障害の不安症状に悩まされていることは苦痛なこととはいえ生活や性格の一部に過ぎない。
また心理カウンセリング夢診断・夢分析、その他の仕事でそれなりに人の役に立っているはずだから「駄目な人間」とすべてを自己否定するのは正しくない。
4) このままずっと(一生)失禁恐怖に脅かされ続けるのか。耐えられそうにない。死にたくなるかもしれない。我慢の限界。
→これまで何度も失禁恐怖症や社会不安障害の不安症状に悩まされるたびに何とか克服してきた事実を過小評価していないか。もっと自分に自信を持ってもよいのでは。
5) 自分はこのまま一生、失禁恐怖に怯えながら生きていくに違いない。この病気を克服できないに違いない。毎日、不安と憂うつな気分で暮らさざるを得ないに違いない。
→同じく、これまで何度も失禁恐怖症や社会不安障害の不安症状に悩まされるたびに何とか克服してきた事実を過小評価していないか。もっと自分に自信を持ってもよいのでは。
6) こんなことになるのならコンビニでトイレに行っておくべきだった。
→これはそのとおりだと思う。むしろ問題なのは神経性頻尿(心因性頻尿)の症状を克服するためにはトイレに行きたいときでも行ってはいけないと考える「べき思考」(認知の歪み)である。

認知療法による失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考に代わる適応的思考の列挙:

1) 可能性で言えば実際に失禁してしまう可能性はゼロではない。しかし大人になってからこれまで一度も失禁したことはないのだから、その可能性は限りなくゼロに近い。
また失禁恐怖に襲われてパニックになった状態は確かに辛い。しかしその辛さも多くの場合数十秒で治まっている。
2) 人前で失禁してしまうことは確かに恥ずかしいこと。しかし実際に失禁してしまう可能性は限りなくゼロに近い。
3) 私には隠しておきたい恥ずかしいこともあれば、そうではないこともある。少なくても生きている価値がないほど駄目な人間ではない。
4) 確かに不安に駆られているときは不安な状態が一生続くような気がしてしまう。しかしこれまで何度も失禁恐怖症や社会不安障害の不安症状に悩まされるたびに何とか克服してきた事実を考えると、そうなる可能性は低いように思える。
5) こちらの予測も、おそらくそうなる可能性は低いように思える。
6) 本当に膀胱に尿がたまってトイレに行きたいときにまでトイレを我慢しなければ神経性頻尿(心因性頻尿)の症状を克服できないと考えるのは馬鹿げている。
心身が健康な人でさえ尿意を感じれば迷わずトイレに行くものだ。

認知療法で失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考を修正したことによる気分・感情の変化:

1) 不安 90%→60%
2) 恥ずかしい 100%→70%
3) みじめ 70%→40%
4) 憂うつ 90%→50%
5) 無力感 90%→30%
6) 後悔 70%→30%
認知療法により失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自動思考を修正した結果いずれの気分・感情とも数値が低下しました。
特に自分には失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状に対して色々と対処できる可能性があると思え無力感が大きく低下した(=自己効力感が高まった)ことが今回認知療法を試してみての一番の収穫でした。

認知療法の自動思考記録表を作成しての感想:

最後に失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状の自己治療を目的とした認知療法の自動思考記録表の作成についての感想ですが、自動思考記録表を作成する前は自分の自動思考についてはある程度分かっているつもりでした。
しかしいざ自動思考記録表を作成してみますと予想していたよりも遥かに多くの自動思考が浮かんできて驚きました。
また失禁恐怖症・社会不安障害の不安症状についての自動思考記録表を作成し終えた後は、心が不思議な静寂に包まれたことが印象的でした。
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