工藤晋平著『支援のための臨床的アタッチメント論:「安心感のケア」に向けて』の紹介記事。
1ページ目では、同書の概要と、特に私自身に役立った点として、精神分析理論をより多角的な視点から検証しつつカウンセリングの仕事に活用できるようになったことを挙げました。
続くこのページでは、同書が心理臨床以外の分野でも役立ったことについて触れます。
学童保育の仕事のために『支援のための臨床的アタッチメント論』を購入
私が『支援のための臨床的アタッチメント論:「安心感のケア」に向けて』を読み始めたきっかけは、昨年の10月から今年の3月まで務めていた学童保育の支援員の仕事を通してでした。
それまではもっぱら成人を対象としたカウンセリング業を営んでいた私は、子どもと接する機会といえば親戚の子どもくらいでした。
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そこで子どもの心の理解に役立つ専門書を書店で探し購入した中の一冊が今回紹介した『支援のための臨床的アタッチメント論:「安心感のケア」に向けて』でした。
購入の決め手は、同書にはアタッチメント論の解説のほかに、アタッチメントの各パターンと行動との関連についての調査研究が幅広い年代にわたって紹介されていて、こうしたデータが私にとって未知の存在と言える学童期の子どもの心の見立てに役立つように思えたためです。
子どもの「甘え」と思える行為を冷静に判断できた
この半年間、仕事場への道中で同書を読みつつ仕事をこなしましたが、もっとも参考になったのは子どもたちのいっけん甘えと思える行為について、冷静に判断しつつ対処できたことです。
甘えの概念は一般的にはネガティヴな文脈で使われることが多いため、もしアタッチメントの概念を知らなければ、子どもたちが抱きついたり体を擦り寄せてきたりしたときなどに、即座にそれらの行為を否定してしまっていたかもしれません。
(もちろんこれらは程度問題であって、すべての行為を許容すべきということではありません)
なお子どもたちが身体を接触させてくる行為の様子は、アタッチメントの観点から非常に興味深いものであったため、別途記事にする予定です。
紹介文献
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