R・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』

ブリーフセラピーの真髄は「常識からの脱却」

2月7日(月)の『激レアさんを連れてきた。』という番組に出演されたCMタレントのミツキさんのエピソードが、ブリーフセラピーの格言の特徴をよく表しているように思えましたので、今回紹介いたします。

常識はずれの服装でCMオーディションに初合格

ミツキさんは活動当初はCMなどのオーディションに落選続きでした。ところがあるCMのオーディションの際に指定された衣装を前日に急いで調達したため、やむをえずオシャレとは言い難い服装で望んだところ、意外にもそれが功を奏したのか見事そのオーディションに合格。

この経験からミツキさんは、服装に限らず前回のオーディションで役に立ったと思われることをその後のオーディションでも実践することで急激にオーディションの合格率を高め、現在は年間10本以上のCMに出演されているそうです。

バラエティ番組ですので多少の脚色はあるのかもしれませんが、このミツキさんの体験談には、ブリーフセラピーの格言を実践するコツと同時に、その難しさが集約されているように思えます。

格言「上手くいっているなら、もっとそれを続けろ」の実践のコツ

ブリーフセラピーにはいくつかの格言が存在しますが、今回のミツキさんの事例に当てはまると考えられるのは「上手くいっているなら、もっとそれを続けろ」というものです。

補足) 以前に「解決志向ブリーフセラピーとMRIアプローチを併用するメリット」でも触れましたように、解決志向ブリーフセラピーがこの格言を実践するための具体的な技法と考えられます。

先の例で言えば、アクシデントからご本人いわく「ダサい」服装でオーディションに臨まなければならなくなり、しかし意外にもそれがCMオーディション初合格に結びつく。
そこで半信半疑ながら次のオーディションでも同じような戦略で望んだところ、こちらにも見事合格したというものです。

この格言に限らずブリーフセラピーの実践には、世の中のすべての事柄を、合理的な法則による説明が可能な「原因」と「結果」に分けて考える論理的思考に捉われない柔軟な発想が要求されますが、ミツキさんの半信半疑ながらも同じことを試してみるという態度には、ブリーフセラピー的な発想が感じられます。

では誰でもこのブリーフセラピーの格言にしたがって、上手くいっていることをそのまま続けて容易に成功を手にすることができるかと言えば、決してそうではありません。
次のページではその理由を述べます。

R・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』
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