R・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』

『変化の技法-MRI短期集中療法』~ビリーフセラピーの基本理念が学べる最重要図書

要約:『変化の技法-MRI短期集中療法』を参考に、ブリーフセラピーの主な特徴である、問題や変化に焦点を当てることや、IPよりも解決のモチベーションが高い人と関わることなどについて考察。

今回の記事はお勧め本の紹介です。

ブリーフセラピーと解決志向ブリーフセラピーについて

今回ご紹介するのはR・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』です。
ちなみに短期集中療法とはビリーフセラピーのことです。

ブリーフセラピーは日本では当初短期療法と訳されていたことから、同書にも同様の用語が使われています。

またブリーフセラピー以上に知名度が高いかもしれない解決志向ブリーフセラピーも、その名の通り問題解決に焦点を絞り、一貫して問題が解決した状態へと促す未来志向の介入スタイルを採りますが、拠り所になるベースの理論はやはりブリーフセラピーです。

ブリーフセラピーの特徴その1~とにかく変化を促す

ブリーフセラピーとその古典的な名著とも言える『変化の技法-MRI短期集中療法』の特徴は、タイトルと要約に端的に示されています。

まずタイトルの変化の技法には、この技法が変化に焦点を当てていることが示されています。
勿論その変化は肯定的な変化であることが望ましいわけですが、ブリーフセラピーが画期的だったのは、その変化を促す試みが肯定的な変化をもたらすのか確証が持てない場合でも、とにかく試してみることを推奨した点です。

これは何らかの変化が生じない限り、状況が改善することはないとの考えに基づくものであり、その信念は次のような格言に示されています。

もしそれが上手く行っているのなら、もっと続けろ。
もし上手く行っていないのなら、何か別のことを試せ。

私たちは現状より悪くなるリスクを恐れて現状維持を選択しがち

私たちは通常問題解決を試みる際に、その試みの結果を予測しながら解決手段を選択します。
これは当たり前の発想のように思えるかもしれませんが、実際は少しでも悪くなる可能性がある選択肢に対しては不安を感じ、なかなかその選択肢を選ぶことができません。

しかし実際は100%リスクのない確実に良くなる方策などというものは恐らく存在しませんので、その結果今より悪くなる可能性を恐れるあまり、変化を求めているはずなのに現状維持を選択してしまうことがしばしばあります。
特に深刻な悩みを抱えている時には、通常よりもネガティヴ思考に傾きがちです。

ですからブリーフセラピーの「上手く行っていないのなら、(とにかく)何か別のことを試せ」という格言は、とても実用的なのです。

次のページでは『変化の技法-MRI短期集中療法』の要約文から、ブリーフセラピーの別の特徴を紐解く予定です。

紹介文献

R・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』、金剛出版、1986年

R・フィッシュ、J・H・ウィークランド、L・シーガル著『変化の技法-MRI短期集中療法』
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