- 2018年7月7日
- 2021年11月19日
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自己愛の連鎖に関する考察〜自己愛講座44
しばしば指摘される「自己愛の連鎖」について、その理由を発達心理学における「内的作業モデル」などを援用しつつ考察しました。
しばしば指摘される「自己愛の連鎖」について、その理由を発達心理学における「内的作業モデル」などを援用しつつ考察しました。
過干渉に陥りがちな親の心理の特徴として、当人からすればそれは深い愛情ゆえの行為であること、および予期不安が強い傾向や、共生期と呼ばれる母子密着の心理の存在などについて解説しています。
過干渉と過保護が異なるタイプの自己愛性パーソナリティを生み出すことに加えて、世間ではこの過干渉と過保護とが混同されているようにように思えますので、それぞれの内容についても簡単に整理しています。
ドラマ『ずっとあなたがすきだった』の冬彦さんのように、これまで異常で気持ち悪い存在と見られていたマザコン男性が、今はその親子の仲の良さがむしろ積極的に評価され「優しい人」と好印象を持たれるように変化して来ているようです。その背景について考察しています。
コフートは自己愛の病理の治療に多大な貢献をしましたが、悪い母親理論と称される彼の環境因偏重の姿勢は、アダルトチルドレンのような極端な他罰傾向の思想をも生み出してしまったように思えてなりません。
あまりに大人びた子どもの態度は、親から子どもへの要求をエスカレートしがちになり、その極端な例が親子の役割の逆転現象です。しかしこうした病理的な親子関係は片方の側の要因だけでは生じ得ず、双方の要因が伴って初めて生じるものであることから、いずれかの抵抗によって避けられるものと考えられます。
アリス・ミラー著『新版 才能ある子のドラマ―真の自己を求めて』は、支配的な親子関係にさえ、子どもの気質が大きく影響していることを明らかにした画期的な本です。
『毒になる親』の著者としても知られるダン・ニューハースの『不幸にする親 人生を奪われる子供』は、親による子どもの有害なコントロールの有様を広範囲にカバーしているため、親子共にそのような親子関係の問題点を知り、自分自身の人生を生きるきかっけと成り得る本だと思われます。ただし子どもの気質が考慮されていない点については注意が必要です。
NHKドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」を参考に、共生期状態の母親は娘を理屈の上では大人とは分かってはいても、気持ちの面では赤ちゃんのようにケアが必要な非常にか弱い存在と錯覚しているため、心配のあまり過干渉な行動へと駆り立てられることについて解説しています。
NHKドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」に登場する母親と娘の関係を参考に、最近増えていると聞く友達感覚の非常に仲の良い親子関係に潜む「共生期」と呼ばれる重症域の病理の存在について解説しています。ただしこのような解釈は個人主義的な思想に基づくものであり、和を重んじる日本文化では、かなりの程度容認されています。