ブリーフセラピストの森俊夫先生が昨日お亡くなりになりました
FBページでもお伝えしましたように昨日、ブリーフセラピストの森俊夫先生がお亡くなりになりました。
ご葬儀等の日程は以下の通りです。
20日 18時から 通夜 禅林寺@三鷹
21日 12時から 告別式 禅林寺@三鷹
13時 出棺
森俊夫先生から学んだこと~関心があるから質問する
森先生の講義は日本産業カウンセラー協会東京支部のセミナーなどで何度か拝聴しましたが、一つとても印象に残っているお言葉があります。
それは「関心があるから質問するんだ」というお言葉です。
これは恐らくロジャーズ派の「質問をしてはいけない」という戒律を意識してのものだと思います。
なぜならロジャーズ派の用いる傾聴では、質問がクライエントの自己治癒力を尊重しない非共感的行為として厳しく戒められているのに対して、森先生の用いるブリーフセラピー、特に解決志向ブリーフセラピーは質問すること無しには成り立たないためです。
この森先生のお言葉を聞いて、なるほどと腑に落ちました。
なぜなら例えば日常会話で質問をするのは何か知りたいことがあるからであり、それはとりもなおさず興味を惹かれているからであり、その一方で興味がないことに対しては相手の話に適当に相槌を打って聞き流したりするためです。
また興味がなくても気を遣って興味があることを示すためにも質問は用いられます。
ですからロジャーズ派の見解とは異なり、質問されることは尋問のようになったり話を遮るような形でない限りは、話し手に「話に関心を持ってらえている」という印象を生じさせるものと思われます。
この話を聞いてから「話を聞いてもらえている」「受容されている」という印象は、型にはまった技法によってではなく、クライエントに関心を持つという態度そのものにあると分かり、それ以降もっと自由にクライエントと関われるようになりました。
型にはまり過ぎた解決志向ブリーフセラピーへの戒めも
またこの森先生のお言葉には、もう一つ意図があるように思えます。
それは型にはまり過ぎた解決志向ブリーフセラピーへの戒めです。
森先生自身も黒沢幸子先生との共著書『森・黒沢のワークショップで学ぶ解決志向ブリーフセラピー』のまえがきに書かれていますように、解決志向ブリーフセラピーには非常にシンプルで学習しやすく臨床心理学の知識もまったく必要としないという特徴があります。
ですがこの利点が追及された結果なのでしょうか、解決志向ブリーフセラピーのワークショップで行われていることは、質問の仕方(具体例)とそれぞれの質問の順番が記されたレジュメを渡され、そのレジュメどおりに練習すれば自ずと解決志向ブリーフセラピーが習得できるというスタイルのものが大部分です。
しかしこのように、お手本にしたがって型通りの質問を機械的にこなしていく行為で、果たして森先生の仰る「関心」は生じるのでしょうか?
ですから冒頭の「関心があるから質問するんだ」というお言葉には、型にはまり過ぎた解決志向ブリーフセラピーへの戒めのお気持ちも込められているように思えてなりません。
森先生はミルトン・エリクソンのアプローチにも多大な関心を寄せられている方でした。
ミルトン・エリクソンは個別性を重視し技法の体系化を極力嫌った人です。
(エリクソン流アプローチとして体系化されているものは、すべて弟子によって作られたものと聞きます)
そのエリクソン流アプローチに惹かれる方が、技法の極度のルーティン化を支持するとはどうしても思えないのです。
最後に森先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。
追伸)森先生には日本ブリーフサイコセラピー学会の入会の際に推薦者にもなっていただきました。