ロゴセラピーでカウンセリングを行う際に、クライエントの人生をカウンセラーが肯定するのではなく、傾聴によってクライエント自らが人生の肯定的な面に気づくように促すことで、カウンセリングがよりクライエント中心のものになります。
ロゴセラピー、再び…
以前、NHKビジネス未来人「起業の夢かなえるパートナー」を見ていた時のことです。インキュベーションマネージャー・小出宗昭氏のある言葉に釘付けになりました。
「私に、これまでの仕事のことを語ってください。」
瞬時に、昔読んだロゴセラピーの本(フランクル心理学入門)のことが思い出されました。
ロゴセラピー(フランクル心理学)では(例えば、自己否定に苦しんでいる)クライエントに「これまでの人生」を語っていただき、カウンセラーは
「あなたの人生は『あなただけのもの』であり、誰もあなたの人生を否定することはできない!」
と言って、クライエントを励まします。
※「ビジネス未来人」では、クライエントの話の内容から、小出氏が「こうしたらどうですか?」と助言を行っていました。
ロゴセラピーに対する抵抗:
私個人としては、他人に人生を肯定されたからといって、それだけでクライエントが救われるとは思えませんでした(少なくとも、私というクライエントに対して、ロゴセラピーのアプローチは効果的ではなかったのです)。
それに、カウンセラーが励ますことや、一方的に価値観を押し付けることは、カウンセラーのペースにクライエントを巻き込むことになると思えるからです。
これはフォーカシング指向心理療法やクライエント中心療法のカウンセリングを指向する私にとって、受け入れられないことでした。
しかし今また、こうして私の前にロゴセラピーが現れてきたことには何か意味があるように思え、あらためてロゴセラピーについて見直してみることにしました。
傾聴を用いたロゴセラピー:
まず最初の「クライエントにこれまでの人生を振り返っていただく」ことは、どの心理療法でも、初回のカウンセリングで行われていることです。
問題はその後です。どのようにカウンセラーが接すると、私のようなクライエントでも自己肯定的なエネルギーが生まれるのでしょうか?
『傾聴』が一つの答えになると思います。クライエントが人生を振り返るのに傾聴でついて行き、(偶然にでも)肯定的な出来事が浮かんできた際に「○○のような(肯定的な)こともあったんですね。」と伝え返すことができれば、クライエントが肯定的なエネルギーに「自ら触れる」きっかけになる気がします。
この方が、カウンセリングが、よりクライエント中心のものになるはずです。
NHKビジネス未来人「起業の夢かなえるパートナー」
諸富祥彦著『フランクル心理学入門―どんな時も人生には意味がある』
『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』の著者フランクルの心理学のエッセンスを、はじめてわかりやすく説いた入門書。「生きるのがむなしくなった”自分”を変える心理学」決定版