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質問・提案と二段階教示@フォーカシング

フォーカシングにおける質問と提案:

アン・ワイザー・コーネルの「フォーカシング入門マニュアル」「フォーカシング・ガイドマニュアル」では、いずれにおいても「質問よりも提案の方が、フォーカサーが断りやすい」点が強調されています。
本当でしょうか? 何となく「質問の方が断りやすい」ような気がするのですが…

リスナー(ガイド)に気兼ねしないことで提案は断ることができる★

納得がいかないので、頭の中でシミュレーションしてみました。まずは「提案」から。
「~してみませんか」
ガイドの方に何となく気兼ねして「ええ」と言ってしまいそうです。断ると悪いような気がするのです。
続いて「質問」
「~でしょうか」
よく分からない…
ここでハッとしました。質問の場合は「無意識に試して」しまっていたのです!
提案では、たとえ従ってしまった場合でも「自分で選択した」という自覚がどこかにあります。
ところが質問の場合は、(そのようなコミュニケーションに慣れてしまっているのか)質問に答えるかどうか判断する間もなく、無意識に「質問の答え」に意識が向いてしまいます。そして答えないのは、質問に答えたくないからではなく、「答えを話したくない」時だけです。
このように質問は、フォーカサーを無意識の内に、質問の答えを考えることに誘導してしまうのです。

二段階教示による質問:

では提案の方は、断ることができるのでしょうか?
ここでフォーカシングに際しての、フォーカサーの態度を思い出す必要があります。
それは「フォーカサーは、リスナー(ガイド)に気を使ってはいけない!」ということです。
フォーカシングは、フォーカサーのためにフォーカサー主導で行われます。リスナー(ガイド)は随伴者に過ぎません。フォーカサーの意志が最大限に尊重されることを忘れさえしなければ、提案は遠慮なく断ることができます。

二段階教示による質問:

また質問も、ジェンドリンが好んで用いた「二段階教示」を使えばフォーカサーが断りやすくなります。
「お答えいただいても、いただかなくても、どちらでも上手くいきますよ。」
ですから本当に大切なのは、フォーカサーを操作することなく「しっかりとそこにいて」、提案とか質問とかに関係なく、自分のからだから浮かび上がってくる言葉を伝えることなのかもしれません。

アン・ワイザー・コーネル著『新装版 フォーカシング入門マニュアル/ガイド・マニュアル』、金剛出版、2014年
初心者の方向けのフォーカシングマニュアルです。フェルトセンスとの上手な付き合い方や傾聴の仕方についての詳しい解説があります。

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