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「気づき」はクライエントのもの@フォーカシング指向心理療法

何が役に立つかを知っているのは、クライエントの方のみです。他人であるカウンセラーではありません。
したがって「気づき」を人生に活かすか否かについても、カウンセラーが決めることはできないのです。

「気づき」を人生に活かすこと:

少し前の出来事です。私はある時、行動療法の「小さな目標」の考え方が、クライエントの方が「気づき」を人生に活かす際に有効であることに気づき、そのことを知人に嬉々として話しました。
ところが知人から「必ずしも、そうしたいとは限らない」という意味合いの反発を受けました。
当時の私には、その意味が分かりませんでした。
「本当に大切なのは『気づき』を人生に活かすことであり、そのようにクライエントの方を促すことは、むしろカウンセラーの義務である。」とさえ考えていたからです。
それでも、知人の言葉が気になって仕方がありませんでした…

「気づき」はクライエントのもの:

しばらくしてジェンドリンの著作を読んでいて、間違いに気づかされました。以下引用します。

(クライエントに安心感を与えることについて)ついこれを忘れるのは、自分がクライエントに「役立つに違いない」方法を思いついた場合である。(フォーカシング指向心理療法 下巻 P.484)

何が役に立つかを知っているのは、クライエントの方のみです。他人であるカウンセラーではありません。
したがって「気づき」を人生に活かすか否かについても、カウンセラーが決めることはできないのです。どんなに立派に思える考えも、クライエントの方の義務にはなり得ないのです。
知人に感謝すると共に、深く反省…

補足(行動療法的アプローチの工夫):

その後の考察で、「気づき」に対する行動療法的アプローチが、「誘導」ではなく「選択肢の一つ」として提示されるなら、それは意味のあることではないだろうか?と思えてきました。
一例として次のようにお尋ねすれば、クライエントの意志を尊重しながら、なおかつ「気づき」を人生に活かす可能性を探ることができる気がします。
「そのこと(気づきの内容)は、○○さんの人生(あるいは日常)にとって、どんな意味があるんでしょうか?」
このようにお尋ねすれば、変化が必要なときは「答え」が導き出されるでしょうし、逆に今は変化の必要がなければ、おそらくクライエントの心には何も浮かんで来ないでしょう。

ユージン・T.ジェンドリン著『フォーカシング指向心理療法(上・下巻)』、金剛出版
目下のところ、私にとってのカウンセリングのバイブルです★

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