今晩21時のNHKスペシャルで、戦後70年 ニッポンの肖像 豊かさを求めて第2回「”バブル”と”失われた20年” 何が起きていたのか」と題して、1980年代の「バブル経済」とその反動の「失われた20年」と呼ばれる経済の低迷期の様子が取り上げられます。
このことに関して、テレビの街頭インタビューなどを見ていると、今でもバブル経済の再来を望む人が少なくないようです。
こうした毎日がお祭り騒ぎのような享楽を好むことにも、私の専門の自己愛が関係していると思われます。
自己愛的な人は、それ以外の性格タイプの人と比べて、より気分の影響をダイレクトに受けるため、少しでも辛い気分になると、それをすぐに心地良い出来事によって解消、というよりも吹き飛ばしてしまう傾向があります。
こうした対処方法は精神分析では躁的防衛と呼ばれています。
辛い気分を躁状態と呼べるほどの快楽的な手段によって、その都度吹き飛ばしてしまうわけです。
その手法は気分をハイにするものなら何でも良いため、パーティーや飲み会・レジャーのようなイベントから、各種の依存症を引き起こす嗜癖行為、万能的な空想、SNSをはじめとした物事への過度の没頭、音楽、ゲームなどなど、その人が嫌な気分を紛らわしハイな気分に浸れることなら、どのようなものでも躁的防衛の手段に成り得ます。
問題はその内容だけでなく、そうして辛い気分をすぐに吹き飛ばすことに慣れきってしまっていることで、ストレス耐性がまったく得られず、むしろどんどん損なわれていくため、さらに躁的防衛に頼らざるを得なくなって行くという悪循環に陥ることです。
またこうした躁的防衛のエネルギーさえも枯渇して、抑うつ状態から抜け出せなくなった状態が、現代型うつ病と呼ばれる自己愛的な要因に基づくうつ状態と考えられます。
このため自己愛的な人の治療的なアプローチでは、初期の段階では深刻なうつ状態への対処が必要としても、頃合を見計らって抑うつ状態にも耐えられるようなストレス耐性を徐々に育んでいくことが目標となります。