クライエント中心療法の3条件:
クライエント中心療法(来談者中心療法)の提唱者カール・ロジャーズは、心理カウンセラーに必要な態度として「共感的理解」「無条件の肯定的配慮」「自己一致」の3条件を挙げていますが、以前ある心理カウンセリングの中で、3条件の中の一つ共感的理解の効果を実感するような出来事を体験しました。
クライエントの質問攻めにうんざりする体験…
心理カウンセラーには守秘義務がありますので詳細はお話できませんが、その心理カウンセリングでは開始当初からクライエントの質問攻めに遭い「一体いつになったらカウンセリングを始められるのか?」と内心うんざりしてしまい、このクライエントとのカウンセリングに嫌気を感じ始めていました…
クライエントの立場に立てたことで共感的理解を取り戻す☆
しかしある瞬間、ふと「このクライエントは、なぜこのことを心配しているのだろう?」と疑問を感じた途端、それまで感じていたクライエントに対する嫌気は吹き飛び、代わってそのクライエントとのカウンセリングに対するモチベーションが急速に湧いてきました☆
この一連の体験は、カール・ロジャーズのクライエント中心療法の理論を借りれば、度重なるクライエントの質問攻めに嫌気が差してしまい、一時は心理カウンセラーに必要とされる共感的理解の態度を完全に忘れて被害者意識で一杯になってしまったものの(逆転移)、その後運良くクライエントの立場に立って物事を考えることができたことで共感的理解の態度を取り戻せた(逆転移の解消)と解釈することができそうです。
逆転移の予防・解消に効果的なクライエント中心療法の共感的理解の態度:
心理カウンセリングを始めたばかりの頃の私は、カール・ロジャーズを「カウンセリングの神様」として崇め、クライエント中心療法の理論の忠実な実践といえる傾聴に徹することで、クライエントの心の中に宿る無限の自己治癒力が呼び覚まされ「必ず」心の病が治癒すると信じていました。
しかし現在の私はそのような考え(クライエント中心療法に対する幻想的な期待)はほとんど持ち合わせていません。
とはいえ上述の体験では、クライエント中心療法の共感的理解の態度を取り戻したことで逆転移的な被害者意識から抜け出し、再び目の前のクライエントとのカウンセリングへのモチベーションを取り戻せたことは紛れもない事実です。
この体験からカール・ロジャーズの提唱したクライエント中心療法の3条件の一つ、共感的理解は心理カウンセラーの逆転移の予防・解消に効果があるように思えました。