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カウンセラーとしての限界を痛感した出来事…

小さな子供に接するような優しさに満ちた上司の方

最近よくカフェなどで部下の悩み事の相談を受ける上司の方をお見かけしますが、今日もまたそのような方をお見かけしました。
ただその上司の方の対応はこれまで見かけたことのある、どの方とも異なっていました。

具体的には私にはその態度がまるで、言葉をやっと覚えたばかりの小さな子供に接するような優しさに満ちているように思えました。
やがて相談者の方は心理的エネルギーを得たためでしょうか、それまでの今にも倒れてしまいそうだった弱々しい様子から一変して、今度は同僚への激しい怒りをぶちまけ始めました。

このお二人の様子を見ていて、自分のカウンセリングの失敗例のことが幾つか思い浮かびました。
私のカウンセリングの失敗のパターンの多くは、後から思えば病態水準を見誤りクライエントを実際よりも成熟した大人と勘違いし、そのような方として接してしまった、あるいは病態水準の見立ては適切であったと思われるのに適切な対応が取れなかったかのどちらかでした。

おそらく今日私が目にしたような方に対しては、無条件の受容的態度をとるとしても一般的な傾聴ではあまりに冷たく他人行儀な態度と思われてしまい、この上司の方のように小さな子供に接する優しいお母さんのような態度が欠かせないように思えました。
そうした養育者のような存在を欲し、その欲求を嫌な顔一つせず快く受け入れ満たしてくれる、言葉を変えれば小さな子供のように振る舞うことを快く許してくれるような人に接して初めて、このような方は少なくても怒りを表出できる程度にまで回復することができるのだと思います。

クライエントの退行を許容できない自分の限界を痛感…

ですがこのような関わりは恐らく私には難しいと思います。なぜならこの上司の方を見た時の私の最初の反応は「気持ち悪い」というものだったためです。
それはもちろん大人の人に対して子供相手のような態度をとっていることへの嫌悪感です。
そこまで激しい嫌悪感を感じることを自分が実践することなど到底無理でしょう。

ですからこれが現時点の私のカウンセラーとしての限界なのだと思います。
と同時にクライエントのニーズに合わせて養育者のような態度を躊躇いなく実践できる今カウンセリングを教わっている先生の偉大さを改めて感じました。

私がこの方のような態度でカウンセリングが行えるようになるためには、まず私自身が時として小さな子供のように振る舞える、言葉を変えればそのことを許容できるようになる必要があると思います。
そしてこのことに関して今の私はあまりに羞恥心が強すぎるということです。

注)ここでの「子供のような」とは、あくまで「人間関係のニーズ」に限ってのことで、決して子供そのもののような人という意味ではありません。

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