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ストレス耐性を高めるマインドフルネスのすすめ

私は生粋のロジャーリアンではありませんので、カウンセリングのセッションで傾聴に徹するということはせずに、クライエントの求めに応じて助言や提案を行わせていただいております。
そうした中でここ数年頻度が増えて来ているのがマインドフルネスという技法の提案です。

境界性パーソナリティ障害の治療法として開発されたマインドフルネス

マインドフルネスとは元々は境界性パーソナリティ障害の治療法として開発された技法です。

境界性パーソナリティ障害(通称ボーダーラインあるいはボーダー)とは、まるでジェットコースターのように気分が短時間に急激に変動し、その気分の変動に翻弄されることを特徴とする大変苦しい精神疾患ですが、マインドフルネスはこの境界性パーソナリティ障害の治療法の一つである弁証法的行動療法(開発者はマーシャ.M.リネハン)の中の一技法で、前述の気分の激しい変動の緩和をその目的としています。

このように元々は境界性パーソナリティ障害の治療法の一つとして用いられていたマインドフルネスですが、境界性パーソナリティ障害のようなまったくコントロール不可能とも思える気分の激しい変動でさえ緩和できるのなら、それ程の激しさを伴わない他の精神疾患その他における同様の症状にも当然効果が期待できるのではないかとの思いからカウンセリングのセッションの場で用い始めたのがきっかけでした。

マインドフルネスのやり方

マインドフルネスのやり方は、それほど難しいものではありません。
日本人なら誰でも一度は体験したことがあるかもしれませんが、これは瞑想や座禅に近いものです。
慣れるとどんな時でも実践可能ですが、自分の心に注意を向け、今自分が何を行っているのかを自覚する(モニターする)というものです。

普段は気づきませんが人間は実は、ほとんど絶えることなく頭の中でお喋りをしています。
常に何かを考えているだけでなく、何かを感じたりした時でもそれを瞬時に言語化していることがほとんどです。

このように頭の中の行われていることを可能な限り自覚し、かつそれを「今自分はこんなことを考えた、感じた」というようにまるで他人事のように客観視するという作業を辛抱強く続けます。
このような作業を根気よく続ければ、リハネンによれば、どんなに辛い感情でも30分もすればその辛さに慣れてしまいさほど気にならなくなるそうです。

マインドフルネスで実際に生じているのはストレス耐性の高まり

このリハネンの指摘したプロセスで実際に生じているのはストレス耐性の高まりであると考えられます。

ストレス耐性が高まったために辛い出来事に直面していてもそれに耐えられるために些細なことで気分が極端に落ち込むこともなく、また後述するストレス耐性の低さから生じるストレス発散にそれほど頼らずに済むため、強迫的なストレス発散行為による過剰にハイな気分も生じなくなった結果と考えられるためです。

現代はストレス耐性が低い人が増えている

詳しくは別の機会に譲りますが、カウンセリングの仕事を始めてからの10年間でクライエントの主訴と呼ばれる主な悩みが、その方個人の心の中の葛藤から対人関係の悩みへとシフトしてきた傾向が見られます。

この変化は精神分析的な解釈では神経症水準からパーソナリティ障害水準への移行と理解されます。
神経症水準の人はストレス耐性が高く心の中の相矛盾する欲求を抱えたままでも耐えられるため、結果的にその相矛盾する欲求間の葛藤に悩まされる、一方パーソナリティ障害水準の人はストレス耐性が低いため葛藤に耐えられず、それをすぐに何らかの方法で解消しようとし、その手段として他人への要求のエスカレートも含まれるため人間関係を著しく損なうという理解です。

このようにこの10年間だけでもストレス耐性が低い人が増えているようですので、それに伴いそのストレス耐性を高める効果の期待できるマインドフルネスを提案する機会も増えて来ているのではないかと考えられます。

ストレス発散一辺倒ではストレス耐性が低下してしまう

上手にストレスを発散することも大切ではありますが、それ一辺倒ですとストレス耐性が低下し、その結果些細なストレスにも耐えられなくなり、常にストレス発散行為に駆り立てられるという事態に陥りかねません。
それを防ぐ意味でも今回紹介したマインドフルネスでストレス耐性を高めることをお勧め致します。

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